では実際に使ってみよう。
Mirage Soloは、GoogleのVRプラットフォームである「Daydream」に準拠している。Daydreamは元々、ハイエンドスマートフォンに別売のHMD「Daydream View」を組み合わせるものとしてスタートした。その後、同じ技術を使い単体型HMDを開発する方向へとプラットフォームが拡大されたのだが、Mirage Soloは「Daydreamを使った単体HMD」の初代モデル、ということになる。
OSはスマホと同じくAndroidをベースとしているが、あくまでスマホではないため、Daydreamに特化した「Daydream OS」ということになっている。利用にはGoogleアカウントが必要で、アプリの配布も、Androidスマホと同じく「Google Play」を利用する。だから、利用開始時にはGoogleアカウントの入力が必須となる。通信は内蔵のWi-Fiを利用する。LTEなどのWANは内蔵されていないし、有線LANでの利用もできない。
なお、Bluetoothにも対応していないため、ヘッドフォンは有線のものを使うことになる。付属品はケーブルが短く、意外と使いづらかったので、自分が普段使っているものを流用することをお勧めする。
起動すると、画面的にはDaydreamと同じランチャーが現れる。といっても、Daydream自体がさほど普及していないので、ここからはDaydreamそのものも説明していく。
Daydreamのランチャーは「森」を模した空間になっていて、その空間上でアプリを選ぶ、という形だ。
かぶってみてまず感じるのは「画質が良い」ということ。Daydream Viewを含むスマホ用VRはもちろん、ハイエンド用VRと比べても、画質の「すっきり感」では負けていない。
VRで画質というと、使っているディスプレイパネルの解像度が注目されがちだ。Mirage Soloに使われているのは5.5インチ・2,560×1,440ドット(両眼分)のVR用液晶。解像度はハイエンドVRに迫るが、そこが画質において支配的なわけではない。解像度だけならスマホ用ディスプレイも大きくは違わないからだ。
だが、かぶってみると、画質の良さに驚く。ハイエンドVR機器との差は小さく、スマホ用VRの常識を打ち破るものになっている。理由は簡単。「一体型で専用設計」であるからだ。スマホ用VRは、色々なスマホを後から差し込む設計であるため、ディスプレイパネルとレンズの関係を最適化できない。ぼやけや斜め方向のにじみなどが生まれてしまう。
しかし、Mirage Soloは「専用機」なので最適化した設計ができる。ハイエンドVRと同じ条件になるので、それだけ良い環境が実現できる……というわけだ。
低価格な(比較的、ではあるが)Mirage Soloでも良好な画質が実現できた背景には、「VR用液晶」の進化がある。VR用では有機EL(OLED)のパネルが使われることが多く、OLED採用の製品に比べると確かに黒の締まりは悪い。だが、精細感・エッジのシャープさなどは決して負けていない。
一方で、映像のフレームレートは75Hzと、ハイエンドVRの90Hz(PlayStation VRは120Hz)に比べ低く、激しく動くゲームなどでは若干の酔いを感じることもあった。だが、デバイスの特性か、PC用のものに比べ動きがゆるやかなものが多いため、フレームレートの違いは決定的な差とはなっていない……と感じる。