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[New門]は、旬のニュースを記者が解き明かすコーナーです。今回のテーマは「ビジネスジェット」。
新型コロナウイルスの感染拡大で世界的に移動が制限され、航空業界は大打撃を受けた。その中で好調なのが、都合の良いスケジュールで、目的地まで貸し切りで飛ぶことができるビジネスジェットだ。プライベートジェットとも呼ばれ、米国などで富裕層や経営者が多く利用するが、国内でも急速に利用を伸ばしている。
10月上旬の朝。羽田空港から小型ジェットが飛び立った。搭乗しているのは一組の家族連れだけ。余暇を楽しみに、国内の南の島に向かうという。
この便を手配したのは、ANAホールディングスと大手商社の双日が2018年に設立した「ANAビジネスジェット」(東京)だ。機体は保有せず、顧客の要望に応じて外部企業からチャーターする。
取り扱う中で最も大きい機種は、一度の給油で東京―ニューヨーク間を超える約1.4万キロ・メートルを飛行できる。14席ある座席の一部はベッドになり間仕切りで個室を作ることもできる。打ち合わせや商談に使える大型テーブルも備える。飛行中には、客室乗務員が料理店の仕出しやデザートなどの機内食を提供する。
料金は、東京―ニューヨーク往復4泊5日で1機約3900万円。冒頭の家族連れが利用した8席程度の機体は東京―新千歳往復1泊2日で約600万円と、定期便より大幅に高い。
ANAビジネスジェットの21年度上期(4~9月)の売上高は前年同期から倍増した。同社の手配で機体を運航する朝日航洋(東京)の中川幸大係長は「感染が拡大し始めてから問い合わせが急増し、緊急事態宣言が明けた10月以降、さらに増えている」と話す。