今、世界中で空飛ぶクルマ、空飛ぶバイクの開発が進められている。このカテゴリーでは出遅れていた感のあった日本だが、数社が開発に乗り出し、飛行に成功。市販化を発表する会社も出てくるまでになった。今回紹介するA.L.I. Technologies(エーエルアイテクノロジーズ)の「XTURISMO(エックスツーリスモ)」もそんな一台である。
A.L.I. Technologiesは、クルマやバイク、ドローンなどが自由に行き交うエアモビリティー社会の実現を目指しており、2021年10月26日にエックスツーリスモの受注を開始。2022年前半からの納入を予定している。 エックスツーリスモはエンジンとモーターを動力源とし、機体の前後に計2つのメインローター、その左右に計4つのサブローターを配置。これらのローターの推力を変化させて機体を傾かせ、前後・左右・上下の移動を可能にしている。操縦装置とシートはバイクを強くイメージさせるものになっているが、基本的な飛行原理は、撮影などで使用されているドローンと同じだ。
電子制御による自律制御で機体の安定は自動的に保たれ、操作系はハンドルとグリップまわりのスイッチのみと非常にシンプル。フットコントロールもない。複雑なデバイスを備えた最近の地上を走るバイクよりも操作は簡単そうにみえる。
こういったデザインや操作系は、新しいエアモービルにとって非常に重要な要素となる。空を飛びたいと思う人は世の中に多いのだが、難しい操作を想像して尻込みしてしまったり、空を飛ぶということ自体、違う世界のことのように考えたりしていることが多い。慣れ親しんだバイクやクルマをイメージする操作系やコックピットは、そういったハードルを取り去り、「これなら自分でも飛ばせそうだ」と考えてもらうことにつながるはずだ。