まず気になるのは、“ANIMAブランド”を作った理由だ。ANIMAのエンジニアであり、Acoustuneの製品開発にも携わる辻氏は、「御存知の通り、Acoustuneの製品は一番低価格でも約3万円から、ターゲット層はオーディオファンの男性が大半です。しかし、ワイヤレスイヤフォンの潮流を考えた時に、女性や若年層も取り込んでいかなければならないという危機感がありました」と、経緯を語る。
だが、市場にはアップルやソニー、AVIOTなど、カジュアルな価格の完全ワイヤレスを手掛ける強力なブランドがいくつも存在する。辻氏は、それらとの差別化を考えた時に“サブカルチャー”に目をつけたという。
その結果、生まれたのが、専用アプリ「ANIMA Studio」と連動し、操作時の音声を“着せ替え”できる「Advent Voice機能」と、そのシステムガイダンスボイスをアプリ上で無料で配布したり、有料で販売するといったプラットフォーム機能。
さらに、社内のエンジニアがチューニングしたサウンドだけでなく、社外の人がチューニングしたサウンドに切り替え、“違う音”が楽しめる「Persona Tune機能」も、ANW01に盛り込まれた。
辻氏は「ANIMA」というブランド名の由来について、「アニメーション的なアニマという意味に加え、中村繪里子さんの声や、TAKU INOUEさんのサウンドなども、イヤフォンの中に入れる、“魂(ラテン語でアニマ)をモノに入れる”というイメージから、ANIMAというブランドにしました」と語る。「ANIMAが目指しているのは、魂を入れると同時に、より身近で、とっつきやすく、それでいて、基本性能に忠実なところはしっかり作り込んだ製品です」。
価格を身近にするため、コストの高いAcoustune独自のミリンクスドライバーは使えない。そこで、ミリンクスではないが「それに近い特性を持つ、秘伝の素材を使い、CoClear(コクリア)振動板を新たに開発しました。外磁型の磁気回路や、強力な磁束密度を持ったN52グレードのマグネットなど、パーツにもこだわり、妥協せずに作ったドライバーです」(辻氏)。
女性でも使いやすいコンパクトなイヤフォン本体。そして、充電ケースも背が低く、ポケットに入れやすい。このサイズ感にもこだわったそうだ。
しかし、製品が小さくなると、当然内蔵できるバッテリー容量も小さくなってしまう。そこで辻氏は、「使っていない時は15分後に自動的に電源をOFFにするなど、バッテリーマネジメントを徹底しました。実使用時間は24時間持つイヤフォンと同等か、それ以上になると自負しています」と、使い勝手の面でも自信を見せる。