オランダのキューケンホフ公園は世界最大の花の公園であり、「世界一美しいチューリップの花園」とも呼ばれている。例年、3月半ばから5月半ばまでしか一般公開されず、特にチューリップが満開になる今の時期は、観光客で一杯になる。
ところが今年は、新型コロナウイルスの影響で公園は閉まったまま。人っ子ひとりいない静謐な園内に、よく手入れされた数百万本のチューリップが咲き誇るという状態になっている。
その様子を、一人のオランダ人写真家が撮影し、Facebookでシェアした。どの写真にも、ありきたりの観光写真では見ることのできない、独特の美しさが溢れている。
写真を撮ったのは、風景写真家のAlbert Drosさん。「覚えていないほど昔からチューリップの写真を撮ってきた」と彼はいう。作品の多くは田舎の田園風景で、あらゆる構図を撮り尽くしてしまったそうだ。
そんな彼が、一生に一度でいいから撮ってみたいと夢想していたのが、人物の入らないキューケンホフ公園のショットだった。
世界的に有名なキューケンホフ公園が無人になるとは、誰にも考えられないことだった。だが、新型コロナウイルス対策のロックダウンでそれが起こった。Drosさんは「一生に一度のチャンス」だと思い、公園に頼み込んで撮影させてもらった、とFacebookに書いている。
撮影当日は快晴で、気温も高く、まだ蕾だった花も一斉に咲き始めていたそうだ。普段は観光客のざわめきで聴こえない鳥の声や、水の音を聴きながら、世界一の花園を眺めるのは「魔法がかかったような不思議な経験だった」という。
キューヘンホフ公園は、オランダ南ホラント州の町・リッセ(Lisse)にある。総面積32ヘクタールの敷地には、毎年700万個の花の球根が植え付けられるそうだ。園内はいくつもの庭園に分かれており、著名な造園家の設計によるものも多い。元は貴族の私有地だったが、1949年に公園として開園した。今の時期に公園が門を閉じるのは、公園の歴史始まって以来のこと。
(了)
出典元:Facebook/Albert Dros Photography
出典元:Wikipedia/キューケンホフ公園