本作では味方ミラージュの持つ力を行使できる人間たちのことを、「ミラージュマスター」と呼ぶ。基本的に主人公の樹以外のメインキャストたちは芸能の道に携わっており、樹もこの事件に巻き込まれ、クロムのミラージュマスターとして目覚めたことから芸能の道を歩むこととなる。だが、普通のプレーヤーならば当然ながら「何故、そこで突然芸能の道に?」となることだろう。
その理由は「演者(ミラージュマスター)の身に神(ミラージュ)の力を降ろす、いわゆる神降ろしに通じるものがある」――とされており、歌、演技、楽器演奏などの芸術に携わり技術を磨くことでミラージュの力を使う技術が高まるのだという。この話には、思わず「そうきたか」と唸ってしまった。この説明によって、ミラージュマスターが何故芸能人としての力を磨くのかをすっきりと説明され、「芸能」+「FE」という世界観をすんなりと受け入れられてしまうのだ。
主人公の蒼井樹。ある日事件に巻き込まれてつばさと共にミラージュマスターとしての力を得るヒロインの織部つばさは、ゲーム開始時に眼鏡をかけるかかけないかの設定を選べる。こだわりのつばさにしてあげよう主人公たちが拠点とするのは、芸能事務所の「フォルトナエンタテイメント」。表の顔は芸能事務所、だがその裏の顔はミラージュ事件の調査隊だ。本作では主人公の樹とつばさ以外にもすでにミラージュマスターとして目覚めていた仲間がおり、それぞれが独自に活動していた中、樹に協力する形で仲間になっていく。
樹とつばさのクラスメイトの斗馬は、ミラージュマスターとしては先輩仲間のひとりの霧亜は、人気アーティスト「Kiria」として活動している。つばさはKiriaの大ファンバトルの基本的なシステムとしてはいわゆる"コマンドバトル"形式となっているが、芸能の能力を磨きながら進んでいくストーリーとあって芸能的な世界観は戦闘シーンでも活かされており、ステージ衣装のようなコスチュームにチェンジして、その場に集った観客に魅せるショーのような形式でバトルは行なわれる。
そして敵の弱点を突いた時に発生する仲間の追撃を、本作では「セッション」と呼んでいる。このバトルシステムは実にアトラスらしい楽しさがあり、いかにセッションを狙うかがバトルで重要な要素を占めている。例えば槍が弱点の敵に槍属性スキル「串刺し」を使うことによって、他の仲間がセッション(追撃)に参加してくれる。
ただしセッションに参加するためには対応するスキルを修得している必要があるため、パーティの組み合わせによっては弱点属性を突いても誰もセッションに参加してくれない、ということも起こり得る。このセッションの仕様は少々複雑だが、「行動ターンがきたキャラクターの選んだ攻撃で誰がセッションに参加できるか」というのは、コマンド選択画面左側にセッションラインナップで表示されるので、そこで判断するのが簡単だ。
ゲームの難易度は「フレンドリー」、「イージー」、「ノーマル」、「ハード」、「ルナティック」の5つで、最初に選べるのはイージー、ノーマル、ハードだが、中でも一番カンタンな「イージー」でもセッションは必須なので、システムの理解だけは怠らないようにしたい。そういう意味では良くも悪くも”イージーですら易々とは進ませないアトラス難易度”であり、通常の雑魚とのバトルですらボタンを連打しているだけでは進めないようになっている。なお、イージーモードで一度全滅すると解放される「フレンドリーモード」という、一番難易度の低いモードもあるので、どうしてもバトルを手軽に進めたい人はイージーモードでわざと全滅するのもひとつの手段だ。
また「♯FE Encore」ではセッション演出を短縮化するモードが新機能として追加されたので、バトルをできるだけさくさく進めたい人は活用しよう。
敵の弱点は、炎や氷といったアトラスおなじみの属性の他に、剣、槍、斧、弓という「FE」シリーズの属性も追加されている。例えば馬系の敵には「ホースキラー」が有効で、飛行系の敵には弓が有効だったりするバトルのひとつひとつにはある程度時間はかかるものの、バトルを進めていけばどんどん新しいスキルを覚えていき、敵から集めたアイテムで新しい武器を作ったりとキャラクターが成長していくのを実感できるので、意外とバトルの長さは苦にならない。
何よりバトル画面が最高にポップで、「FE」シリーズとのコラボなのにこんなノリを楽しんでしまっても良いのかと戸惑いつつも、このゲームだからこそ出来た「芸能」+「FE」という世界観を楽しめる。
ノリノリなクロムやカインたちの姿を見るのも悪くないバトル中に突然「アドリブパフォーマンス」としてKiriaのライブが始まることも……これも攻撃の一部なのだが、歌がとても綺麗で発生するたびに見入ってしまうレベルアップ音は、「FE」でおなじみのアレダンジョンについても、攻略はかなり難易度が高めとなっている。恐らく得意不得意もあるとは思うが、筆者はダンジョンの謎解きにはかなり悩まされたほうだった。
このダンジョンは1章で行くことになるが、筆者は1時間以上同じところをぐるぐる回り続けてしまった……元々筆者は道を覚えるのが苦手で、何度もプレイしているゲームですら道を覚えられないというのもあるが、一部のダンジョンでは相当苦戦を強いられた。迷ってしまうと必然的にバトルの回数が増え、HPやEP(スキルを使用するためのポイント)にも深刻なダメージを負う。どんなにセッションを駆使しても、回復アイテムなしでダンジョンに飛び込むのは危険だ。
道中には一定の間隔でワープポイントが設置されており、解放すればダンジョンの入り口まで戻れるため、ワープポイントを見つけたら一度脱出し、回復やアイテムの補充を行ない、またダンジョンに戻ってワープポイントから攻略再開、の繰り返しとなる。
今作ではミニマップ機能が追加されて、攻略が楽になった。ダンジョンの攻略途中であまりプレイ時間を空けてしまうとより一層迷いやすくなると感じたので、マップを把握しにくいダンジョンは、できるだけ道を覚えているうちに攻略してしまいたい。