現実離れがますます加速。
PlayStation VRが発売されてからはや2カ月弱。ギズモード・ジャパンではさまざまなゲームコンテンツを体験してきました。ただ、PS VRは1時間ごとに15分の休憩が推奨されているように、VRでのゲームプレイは疲れてしまうものです。
そこでソニー・ミュージックエンタテイメントからゲームとは全く異なる新しいPS VR専用ソフト『anywhereVR』が12月8日から配信されます。ギズモード・ジャパンは一足先に体験してきました。
ライフスタイル密着型VRと呼ばれる『anywhereVR』。一見ただのリラクゼーションアプリのようですが、そのリラックスレベルは現実を凌駕するかもしれません。なぜなら、『anywhereVR』ではVRの中にスマホ画面を映し出せるから。
12月8日に『anywhereVR』と同時に配信される専用アプリをスマホに入れて同じネット環境で連携させれば、自分のスマホの画面がVRの中に現れます。画面の大きさや位置を調整できるのはもちろん、透過させることも可能。現状で対応しているのはAndroid5.0のみです。
実際に体験してみましたが、画面は想像以上に見えやすく文字もちゃんと見えました。またスマホの画面を通して動画を見ることもできますが、音声をPS VRから出すことはできません。
そして何よりも、VR内でスマホ画面が表示されているため、スマホを目の前に持ってこないでも操作できるのが快適でした。例えば、寝転がっているときも、腕を上にあげることなくスマホ画面を操作できるので、「仰向けに寝転がりながらスマホを見てたら、手が滑ってスマホが顔面に直撃」というような悲しいことが起きないんです。
『anywhereVR』の背景となる美しい映像は、様々な景色が用意されており、いつでも切り替えることが可能です。しかもそのクオリティは折り紙つきで、ソニーの一眼カメラ「α7S Ⅱ」を4台使用して360度の映像を撮影しているんです。また撮影自体にも力を入れており、人が映らないように気をつけたり、いい天気のタイミングをみつけるため、撮影まで3日かかった映像もあるんだとか。
最初に用意されている背景は、砂浜、富士山の2つ。その他は10本で1,980円のセットが2つダウンロードコンテンツとして配信され、合計22本の背景が用意されています。オリジナルのBGMも用意されており、6曲入りで650円で配信されます。BGM、背景フルのセットもあるようです。
個人的には星空の背景が一番リラックスできました。現在のVRだとどうしても映像の解像度が気になってしまうのですが、星空は黒い部分が多いためか、解像度の影響をあまり受けていないように感じました。
その他にも、2つのミニゲームが収録されており、釣りゲームとマインスイーパーに似たゲームをプレイできます。激しく動くようなゲームではないので、のーんびりスマホの画面を見ながら楽しめます。また、Twitterと連携させて新着ツイートをVR内に表示させることも可能です。
今回『anywhereVR』を体験して感じたのは、MR的なアプローチの仕方だということ。MRとは「Mixed Reality(複合現実)」の略で、現実世界に仮想の空間、物体などを投影させるという技術です。
VRはヘッドセットを被ることで完全に仮想空間に没入するため、生活に密着させるのが難しいですが、MRはあくまでも現実がベースなので日常生活での利用も可能です。しかし『anywhereVR』はVRの中に現実を投影させることで、生活に密着したVRという新たな可能性を提示したように感じました。
『anywhereVR』を開発したソニー・ミュージックエンタテイメントの阿部達矢さん(左)と原口竜也さん(右)は、今後はVRでリアルタイムのライブを見ながら、傍らでファンたちがコミュニケーションをとる、というようなゲーム以外での新たなVR体験を提供するプラットフォームを作っていきたいと語っていました。
ゲームとしての利用が多いPS VRに新たな可能性を提示してくれる本作は、海外での配信も予定されています。
とりあえずアロマを焚きながら家で寝っ転がって、腕を上げずにネットサーフィン。最高じゃないですか。
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(K.Yoshioka/撮影:松葉信彦)