西之島の価値を保全するための検討 [画像クリックで拡大]
2016年までの小笠原諸島世界自然遺産地域科学委員会等における議論や東京大学・森林総合研究所を中心に行われた調査の結果を受けて、2017年から環境省により「西之島の価値と保全に係る検討委員会」が組織され、生物から地質まで幅広い分野の専門家により、西之島の科学的価値の検討が進められることとなりました。そして、科学的価値を把握する過程として、総合学術調査の必要性が議論され、総合学術調査隊を組織、現地調査を実施することになりました。
西之島には森林もなく、固有種が多いこともありません。これまでの保全地域の検討とは全く異なる、「何もないことの価値、始まりを知ることができる価値」は、現状の価値基準と照らし合わせるのが難しい部分もありますが、海洋島の生態系の歴史が始まる瞬間という、世界でも例のないチャンスを人の手で歪めてしまうことのないよう、確かな保全を計画することが重要です。2020年まで5回にわたって行われた委員会の検討結果は「西之島の価値と保全に係る検討委員会提言」としてまとめられています。
現在は「西之島のモニタリングのための準備会」において継続的な調査の計画や評価が行われています。最新の科学的価値を明らかにした上で、今後は小笠原諸島に関連する行政機関、地域団体と連携して、保護担保措置の具体案が練られていく予定です。