VRスコープを組み立てたら、いよいよVRを体験する準備に取りかかる。すでに説明しているようにYouTubeで動画のVR表示が可能になってはいるけれども、アップロードの際にPC用のツールを使わなければならなかったり、静止画をVR表示する簡便な手段がないので、THETA Sで撮影した映像をお手軽にVRで体験したいなら、専用のVRアプリを使うのが手っ取り早い。
ただし、11月20日現在、専用のVRアプリでもでできること、できないことがある。あらかじめ整理しておくと、純正の「RICOH THETA S」アプリでは静止画のみのVR表示が可能で、iPhoneでは一眼と二眼のVRスコープに対応する2種類のモードを選択できる。Androidでは、二眼のVRスコープに対応するモードのみ用意されている。
今回のムックに付属しているVRスコープは、端末を挿入する部分がiPhone 5/5s/6/6sのサイズに合わせて作られているので、ここではiPhoneを例に説明するが、サイズさえ合えばAndroidスマートフォンでも問題なく利用できる。
では、「RICOH THETA S」を起動したら「アプリ」から写真を1枚選ぼう。端末を横置きにして右から2番目のアイコンをタップするとメニューが表示されるので、「VRビュー(二眼)」を選択して端末を横置きにすると画面が左右に2分割される。そのままVRスコープに端末を挿入して、目の前に構えてのぞき込もう。と、その前に、周囲に人や物がないことを必ず確認してほしい。VRスコープをのぞき込んだら、もうそこは現実とは違う、拡張現実の世界なのだ。首や体を動かして見ることになるし、映像に驚いて思わず体が動いてしまうかもしれない。
上下左右を見るためには実際に首や体を動かしてその方向を眺める必要があり、まるでそこにいるかのようなリアリティを感じられる。
ただし、没入しすぎて、“VR酔い”しないように注意してほしい。体質的に問題ない人もいれば、酔いやすい人もいるようだ。特に使い始めには様子を見ながら楽しんで欲しい。
静止画の臨場感もものすごいが、実は動画撮影したものもVR表示が可能で、そこにも驚きの体験が待っている。
残念ながら「RICOH THETA S」アプリはまだ動画のVR表示に対応していないが、サードパーティ製アプリなら対応しているものがある。例えばiPhone用なら「キロル360」、Android用なら「タオ360」を使ってみよう。
のぞき込んだ画面には、端末に転送したデータのサムネイルが表示されているはずだが、ここはVR。サムネイルは自分を取り巻くように並んでいて、表示・再生したいものを選ぶにはそのサムネイルがある方向をしっかり見なければならない。見たいデータは正面ではなく、真後ろに存在する場合もある。首をひねったり体を回転させたりして、中央にあるマーカーを見たいデータのサムネイルに合わせ、数秒間そのままホールドするとVRコンテンツの再生スタートだ。