日本人の父とタイ人の母を持つ写真家、野見山大地さんの連載「タイ 上から撮るか、下から撮るか」。ドローンによる空中撮影から水中での撮影まで、ひとひねりした視座の写真を得意とする野見山さんが写真と文章でお届けします。第6回は、北東部のウドーンターニー。赤い睡蓮(すいれん)が湖を埋め尽くすタレー・ブア・デーン(トップ写真)で知られる地域です。
【動画】タレー・ブア・デーンの空撮
ウドーンターニーはタイの北東部に位置する歴史ある地域です。イサーン(東北)地方の玄関口であり、この地方独特の文化や食生活が伝わるほか、東南アジア独自の文明の伝える世界遺産、バンチェン遺跡があることでも有名です。
正式名称はノーンハーン湖。タレー・ブア・デーンとはタイ語で赤い睡蓮(すいれん)の海という意味です。ウドーンターニー市街地から車で1時間弱の所に位置しています。
この湖では毎年12月〜2月頃にかけて赤い睡蓮の花が一斉に咲き、「ここはあの世か?」と錯覚してしまうほどの景色を見ることができます。睡蓮が咲く時間帯は早朝からお昼前。季節、時間ともに限られていますが、見る価値がある風景だと思います。地元の方々がこの景色を維持するために睡蓮の花を定期的に植えているそうです。
湖の岸辺には数多くの貸しボート店があり、ボートに乗って周遊することができます。ボートの大きさや時間により値段は違うのですが、だいたい300バーツ(約1080円)から利用することができます。
この時期のウドーンターニーは、タイといえどもとても寒いので、防寒対策をしていくことをおすすめします。
ワット・パー・プー・ゴーン
ワット・パー・プー・ゴーンは、ウドーンターニーから車で2時間弱のナーユング地区にあるお寺で、タイではめずらしく寺の屋根がグリーンで彩られています。周囲に遮るものがない山の頂上の、とても美しい場所にあり、「天空の寺院」としても知られています。
【動画】ワット・パー・プー・ゴーン空撮
地上からみたワット・パー・プー・ゴーン
本堂にある長さ約20メートルの真っ白な涅槃仏(ねはんぶつ)は大理石で作られており圧巻です。
大理石の涅槃仏
プー・プラ・バート歴史公園の奇岩
ウドーンターニーは世界遺産のバンチェン遺跡に代表されるように、歴史や遺跡でも有名です。プー・プラ・バート歴史公園には多くの奇岩が存在します。雨による侵食でできたキノコ型の岩や、先史時代に描かれたという壁画を見ることができます。
先人の住居として使われていたという岩
キノコ型の奇岩は先人たちの住居にも使用されていたというのですから驚きです。
公園のあちこちに仏像が
バンチェン遺跡は、1992年に世界文化遺産になりました。紀元前からの土器や人骨が状態よく残っており、今も発掘作業が続いています。東南アジア独特の文明ではないかとみられているようで、発見当時は大騒ぎになったといいます。
バンチェン国立博物館
出土品を展示したバンチェン国立博物館では、発掘の状況を示したジオラマがあり、お土産も買えます。
バンチェン遺跡は考古学的に貴重ですが、見た目は地味なので、観光地としては物足りなく感じる人もいるかもしれません。
そこで、バンチェン国立博物館のすぐ北にある「プッター・ウッチャヤン・ワット・パー・ドン・ライ」もセットで訪れてみてはいかがでしょうか。
プッター・ウッチャヤン・ワット・パー・ドン・ライ
大きな池の真ん中に蓮のモニュメントの寺院があり夜にはライトアップもされ、とても見応えがあるのでこちらとセットで行くのもいいですね。
真上から見ると……
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