12/15に発売予定のSONYのスマートフォン「Xperia PRO-I」は同社のハイエンドコンパクトデジカメのRX100Ⅶと同じ1型イメージセンサーを搭載するということで大きな話題を呼びました。
そんなXperia史上最高のカメラを搭載したといっても過言ではないXperia PRO-Iを発売前にお借りすることができましたのでカメラ性能をレビューしていきます。
1.0型センサーでライバルにも負けない高画質を実現
Xperia PRO-I はたしかに1型センサーを搭載しているものの、撮れる写真は2010万画素あるうちの中心部1220万画素分のみを利用しており、実効イメージセンサーサイズは約1/1.3インチとなります。このサイズはPixel 6やGalaxy S21とほぼ同じです。
とはいえ、Xperia 1 Ⅲのメインカメラのセンサーサイズは1/1.7インチでした。Xperia 1 Ⅲ比でセンサーサイズが1.3倍に大きくなったことでナイトモードなしでも低照度下でくっきりとした写真を撮ることができます。
また、センサーが大きくなったことで光学的なボケができやすいのも特徴の一つです。F2.0のZEISSレンズが描き出すボケは極めて自然で嫌なざわつきもありません。
センサーピッチが大きくなったことでダイナミックレンジが広くなったのもポイント。
Xperiaのカメラはコンピュテーショナルフォトグラフィーにできるだけ頼らずに同社の一眼カメラαシリーズと同じ自然な画作りであることが特徴です。そのため、明暗差が大きいシーンでは広いダイナミックレンジが求められます。
センサーサイズの大きいXperia PRO-Iはしっかり影のデータが残っている上に、影の色味も自然で他のスマホのように変に青っぽくなっていません。このリアルに忠実で写実的な写真こそがXperiaの強みで、イメージセンサーが大きいことがその強みを大きくサポートしているのです。
RX100Ⅶの1型センサーをクロップすることでストレスフリーな撮影体験に
Xperia PRO-Iが1型センサーをフルに使っていないのは本体の薄型化などの要因もありますが、撮影体験を快適にするためだという点が大きいと私は感じました。
Xperia PRO-IはRX100Ⅶ譲りの強力なAFを搭載しています。RX100Ⅶの像面位相差AFは357箇所ありますがセンサーの端には配置されていません。一方で、Xperia PRO-Iではセンサーをクロップすることでどこでも像面位相差AFが利用できるようになっています。
AFの速度と精度はスマホとは思えないほど快適で、動き回る被写体に対してもバッチリピントを合わせ続けることが可能です。
最近のスマホはセンサーサイズが大きくなりつつあるため写真がボケやすくなっています。その中でもXperia PRO-Iはシャッターボタン半押しで思い通りの場所にピントを合わせ続けてくれるため非常に快適に写真を撮ることができました。
また、クロップで画素数を減らすことで処理速度が向上し、撮影時のラグの少なさやAF/AE追従最高20コマ/秒の連射性能といったフィーリングの向上がなされています。
これにより、思い通りのタイミングでシャッターがきれたり、連射で一瞬のシャッターチャンスを逃さずに撮影できます。
このあたりは同じく1型センサーを搭載し1インチフルに使ったAQUOS R6で課題に感じていたストレスポイントでしたが、Xperia PRO-Iはストレスフリーでまさに「快い」撮影体験でした。
関連記事
https://japanese.engadget.com/aquos-r6-220008094.html
なお、余った画素は電子手ブレ補正に利用されており、動画撮影時の手ブレを大きく低減することに貢献しています。Xperia PRO-Iの1型センサーはクロップされているもののしっかりと活用されています。
αと同じUIで思い通りの操作が可能
また、「快い」撮影体験は1型センサーをクロップした事によるAFや、連射性能、シャッターフィーリングの改善だけでなくα同等のUIを採用していることも影響しています。
Xperia PRO-IはXperia特有の21:9シネマディスプレイを活用することで様々な撮影メニューが画面上に表示されます。これにより、頻繁に使う露出補正やISOに簡単にアクセスでき、思い通りにカメラがコントロールできます。これが思ったよりも快適で、
といった操作がすぐできたり、
といった確認作業も使い慣れたαと同じ感覚で簡単にできます。
他のスマートフォンではなんとなく写真を撮ってスマホが良い感じに仕上げてくれるのですが、Xperia PRO-Iは自分が写真でどういうことを表現したいかを考えながら各種数値をコントロールすることができ、Xperiaもそれに応えてくれるのでより主体的な写真を撮ることができるのです。
ZEISSのT*コーティングとガラスモールドレンズの組み合わせで最高の透明感を
Xperia PRO-Iはイメージセンサーだけでなくレンズも大きな特徴の一つです。
Xperia PRO-Iの24mm相当ZEISS Tessarレンズはプラスチックではなくガラスで作られています。また、ZEISSのT*コーティングもなされておりヌケの良い写真を撮ることができます。
このZEISSレンズが役立つのは逆光撮影のとき。レンズ面の反射を防ぐT*コーティングとガラス製のレンズのコンビネーションで普通のスマートフォンではフレア/ゴーストが盛大に出る逆光時でも透明感あふれる高コントラストな写真が撮れます。
逆光で建物や木々を撮影してもパープルフリンジが出ることがありません。
木漏れ日を撮ってみてもそのヌケの良さ、透明感に驚かされます。
Xperia PRO-Iのカメラはシャープでハイコントラスト、ボケも素直できれいでまさにザ・ZEISSな画作りとなっています。
まとめ:Xperia PRO-IはSONYらしさが詰まった製品
Xperiaのカメラはα譲りの忠実な色味の再現性やAFやUIなどの快適な操作感といった点が強みでした。
いままでのXperiaはセンサーサイズが小さいがためにダイナミックレンジが狭い、そもそも被写界深度が深くて高精度なAFが必要ないといった課題があって、Xperiaの良さが活かしきれていない印象がありました。しかし、Xperia PRO-Iは1.0型イメージセンサーを搭載することでようやくSONYにしかできないXperiaの強みがより写真に現れるようになったと感じます。
Xperia PRO-IはiPhoneやPixel、Galaxyなどのスマホのように漠然とワンタッチでSNS映えする写真を撮るスマホではありません。しかし、自分の表現したいことに対して素直に忠実に、そしてストレスなく確実にアウトプットしてくれます。
そんなXperia PRO-Iは各種設定を理解した上で各シーンでどういう写真が撮りたいのかはっきりしていて、自分の表現を実現する方法がわかる人(≒プロ)であれば最高の相棒になる一台だと思います。
Xperia PRO-I(Amazon)