気がつけば、もう9月。つまり、新しいiPhoneが発表される季節だ。アップルは9月14日(米国時間)、この1年半と同じようにオンラインでの発表会を開催した。“宇宙船”の異名をもつカリフォルニア州クパチーノの本社からのライヴ配信である(アップルは従業員のオフィスへの復帰を来年まで延期しているので、こうしたリモートでの発表会はしばらく続くことだろう)。
アップルが発表した新製品は4つの「iPhone」に加えて、「Apple Watch」や全画面化された「iPad mini」などさまざまなガジェットだ。また、成長を続けているサーヴィス分野やソフトウェアについても最新情報を伝えている。
それでは、今回のイヴェントでアップルが発表した製品の数々を紹介しよう。
まず、「iPhone 13」には4つのモデルが用意された。ディスプレイが5.4インチで低価格な「iPhone 13 mini」から、最新機能がぎっちり詰まった6.7インチの「iPhone 13 Pro Max」までラインナップは幅広い。デザインの点では旧モデルとの視覚的な違いはわずかで、悪名高いノッチ(ディスプレイ上部の出っ張り)が少しだけ小さくなっている。
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搭載されたチップは刷新され、アップル独自の「A15 Bionic」になった。これにより、画像からテキストを自動認識する「Live Text」やマップの高度なアニメーション、カメラで植物や動物を認識するといった機能が、クラウドの助けを借りずにデヴァイス上で処理できるようになる。
また、ストレージ容量の選択肢が増えた。最も低価格なモデルで128GBになり、iPhone 13 ProとPro Maxでは1テラバイトの容量を選べるようになっている。
なお、iPhone 13についての詳細は、別の記事で追って紹介する。価格は小型モデルのiPhone 13 miniは699ドル(日本では86,800円)から、通常モデルのiPhone 13は799ドル(日本では98,800円)から、iPhone 13 Proは999ドル(日本では12万2,800円)から、iPhone 13 Pro Maxは1,099ドルから(日本では13万4,800円)となっている。9月17日(日本では同日21時)に予約受付が開始され、すべての機種が9月24日に発売される。
アップルは今回のイヴェントで、新型iPhoneのプライヴァシー関連機能については簡単に触れるにとどめた。同社は「iCloud」に保存された児童の性的虐待画像(児童ポルノ画像)を検知できる機能の導入を延期しているが、こうした写真のスキャンに関する論争に巻き込まれることを避けたかったのだろう。
今回の発表で最も驚かされたのは、iPhoneのヴィデオ撮影に新たに加わった「シネマティックモード」だろう。これはヴィデオ版のポートレートモードといえる機能で、自動的に焦点の位置を変えて背景をぼかしてくれる。しかもiPhone 13 ProとPro Maxなら、被写界深度やフォーカスを撮影後にも調整できる。また、アップル独自の高品質フォーマット「ProRes」での撮影にも対応する。