ホームボタンがないOLED搭載モデルは2017年のiPhone Xが元祖。筆者は少し遅れて2017年12月末近くに「iPhone 8 Plus」から「iPhone X」へ機種変した。従来モデルとの違いに驚いたものの、すぐ慣れてしまい、今ではホームボタンありの方が違和感を覚えるようになってしまった。性能はもちろん(今でも問題なく使える)、デザインや質感も良く、歴代の中でもお気に入りの1台だ。
その後、2018年に「iPhone XS」と「iPhone XS Max」が登場。この2つは基本的に画面サイズ違い。また前回少し触れているがXRに関しては、同じホームボタンがないモデルでも広角のみのシングルカメラでパネルが液晶となる。
そしてXS/XS Maxの正常進化2019年モデルが今回ご紹介するiPhone 11 Proと11 Pro Maxだ。おもな違いは同じく画面サイズで5.8型と6.5型。どちらもOLED搭載で、筐体のデザイン/質感もXS系を踏襲している。
前世代のカメラは広角+望遠のデュアルだったが、超広角を加えてトリプルカメラとなった。競合機種では超広角や超望遠を搭載、トリプルカメラになっているモデルは結構前からあり、やっとiPhoneでも……と言うのが正直なところだろう。
手元に届いたのはiPhone 11 Pro Max/512GB/ゴールド=Ultimateモデル。おもな仕様は以下の通り。
Apple「iPhone 11 Pro Max」の仕様 | |
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SoC | A13 Bionic |
メモリ | 4GB |
ストレージ | 64GB/256GB/512GB |
OS | iOS 13 |
ディスプレイ | 6.5型OLED2,688×1,242ドット、2,000,000:1のコントラスト比、最大輝度80cd/平方m(標準)/最大輝度1,200cd/平方m(HDR)、True Toneディスプレイ、広色域ディスプレイ(P3) |
背面カメラ | 広角1,200万画素(f/1.8、光学式手ぶれ補正)、超広角1,200万画素(f/2.4)、望遠(f/2.0、光学式手ぶれ補正)、True Toneフラッシュ |
前面カメラ | 1,200万画素(f/2.2)、True Toneフラッシュ |
SIM | デュアルSIM(nano-SIMとeSIM) |
対応バンド | FDD-LTE(1/2/3/4/5/7/8/11/12/13/17/18/19/20/21/25/26/28/29/30/32/66)TD-LTE(34/38/39/40/41/42/46/48)CDMA EV-DO Rev. A(800/1,900MHz)UMTS/HSPA+/DC-HSDPA(850/900/1,700/2,100/1,900/2,100MHz)GSM/EDGE(850/900/1,800/1,900MHz) |
インターフェイス | nano-SIMスロット、Lightningコネクタ、マイク、ステレオスピーカー、2x2 MIMO対応802.11ax Wi-Fi 6、Bluetooth 5.0、NFC(Felica) |
センサー | Face ID、気圧計、3軸ジャイロ、加速度センサー、近接センサー、環境光センサー |
防沫性能、耐水性能、防塵性能 | IEC規格60529にもとづくIP68等級(最大水深2mで最大30分間) |
サイズ/重量 | 77.8×158.0×8.1mm(幅×奥行き×高さ)/約226g |
バッテリ | ビデオ再生:最大20時間、ビデオ再生(ストリーミング):最大12時間、オーディオ再生:最大80時間、高速充電対応、ワイヤレス充電対応(Qi) |
その他 | EarPods(Lightningコネクタ)、Lightning/USBケーブル、USB電源アダプタ(18W) |
カラーバリエーション | ゴールド、スペースグレイ、シルバー、ミッドナイトグリーン |
税別価格 | 64GB/119,800円、256GB/135,800円、512GB/157,800円 |
SoCはA13 Bionic。A12 Bionicと比較してCPU/GPU/ニューラルエンジンのコア数は同じだが、最大20%高速化しつつ、30%消費電力を抑えたものとなっている。メモリはiPhone 11と同じ4GB(同社は公表していない)。ストレージは64GB/256GB/512GBの3タイプを用意。iPhone 11にあった128GBが省かれている。OSはプリインストールはiOS 13だが、つい先日(日本時間の25日)、おもにBUG FixのiOS 13.1がリリースされた。
以降、試用したタイミング的にiOS 13でのレポートとなり、iOS 13.1から対応するU1チップ=UWB(低消費電力、レンジ100~200m、誤差10cmなどBluetoothを越える技術)を使ったAirDropに関しては試していない。いずれにしてもiPhone 11シリーズのみが使える機能であり、現時点では使用できる相手が限られる。
ディスプレイは、6.5型OLEDで、解像度は2,688×1,242ドット。2,000,000:1のコントラスト比、最大輝度800cd/平方m(標準)/最大輝度1,200cd/平方m(HDR)。True Toneディスプレイ、広色域ディスプレイ(P3)対応。特にコントラスト比はiPhone 11の液晶パネルが1,400:1だったので桁違いだ。おそらく黒の締まりが緩いと感じたのもこの差であろう。
カメラは背面が広角1,200万画素(f/1.8、光学式手ぶれ補正)、超広角1,200万画素(f/2.4)、望遠(f/2.0、光学式手ぶれ補正)、True Toneフラッシュでトリプルカメラとなる。前面は1,200万画素(f/2.2)、True Toneフラッシュ。背面/前面共に基本iPhone 11と同じで望遠が加えられたかたちだ。なおカメラに関しては後述しているので参考にして頂きたい。
SIMはnanoSIMとeSIM。対応バンドはiPhone 11と同じで表のとおり。インターフェイスはLightningコネクタ、マイク、ステレオスピーカー、2x2 MIMO対応802.11ax Wi-Fi 6、Bluetooth 5.0、NFC(Felica)。センサーはFace ID、気圧計、3軸ジャイロ、加速度センサー、近接センサー、環境光センサー。Face IDはiOS 13で30%高速化している。確かにチラ見しただけで認識するようになった感じだ。防沫性能/耐水性能/防塵性能は、IEC規格60529にもとづくIP68等級(最大水深2mで最大30分間)。
バッテリ駆動時間は、ビデオ再生:最大20時間、ビデオ再生(ストリーミング):最大12時間、オーディオ再生:最大80時間。筐体が大きい分、その分バッテリ容量も増え、駆動時間も伸びている。高速充電とワイヤレス充電(Qi)にも対応。11付属のACアダプタは5V/1Aで高速充電には非対応だが、11 Pro(Max)に付属するACアダプタは18Wタイプで高速充電に対応している。
本体サイズは77.8×158.0×8.1mm(幅×奥行き×高さ)、重量約226g。カラーバリエーションとして、ゴールド/スペースグレイ/シルバー/ミッドナイトグリーンの4色を用意。税別価格は64GB/256GB/512GBの順に119,800円/135,800円/157,800円だ。
パネルサイズが5.8型(2,436x1,125ドット)で、それ以外のスペックが同じiPhone 11 Proは64GB/256GB/512GBの順に106,800円/122,800円/144,800円となる。
これらからわかるように、iPhone 11 Pro(Max)は、iPhone 11の液晶パネルをより高解像度のOLEDパネルに変更、望遠カメラを追加、外観の高級化、高速充電対応ACアダプタなどがおもな違いとなる。
とは言え、ProにせよPro Maxにせよ、64GBで10万円超え。改正電気通信事業法(端末割引は最大2万円まで)のこともあり、高嶺の花的なスマホとなってしまった感じがする。加えて10月1日から消費税が10%。同社には気の毒だが、外部的なマイナス要因が続く時期と重なってしまった。
前面パネル中央上にカメラ、スピーカーなどがあるノッチ。フチは狭額縁ではないものの、iPhone 11よりは狭い背面。左上にトリプルカメラ。Appleのロゴが中央に移動左/下側面。左側面にサウンドオン/オフボタン、音量±ボタン。下側面にLightningコネクタ、マイク、スピーカー右/上側面。右側面にサイドボタンとSIMスロット。上側面には何もないカメラ部アップ。上が広角、下が望遠、横が超広角と、iPhone 11と並びが違う(上が広角、下が超広角)重量は実測で224gパッケージは黒ベース。ACアダプタ(18Wで高速充電対応)とLightningコネクタ接続のEarPods。オプションの透明ケースiPhone Xとの比較。Xのサイズが70.9×143.6×7.7mmで、Proの71.4×144×8.1mmとほぼ同じ。ProとPro Maxとのサイズ的な比較と見ても差し支えない筐体は6.5型とフットプリントがかなり大きい。扉の写真からもわかるように成人男性でも片手で持つにはギリギリのサイズ感だ。重量も200gを超え重い。質感は11とは違い、やはりこちらの方が正当なX(S)系。より高級感漂うデザイン、そして質感になっている。パネルのフチもこれなら手でパネルの一部が隠れることもなく、見た目が太過ぎることもなく、ちょうどいい。
なお今回11 Proは試していないが、サイズ感はXが70.9×143.6×7.7mmに対して、11 Proが71.4×144×8.1mmと、ほぼ同じ。掲載した写真をご覧頂ければ、おおよその違いがわかると思う。
前面は、パネル中央上にカメラ、スピーカーなどがあるノッチ。狭くも小さくもなっておらず従来通り。背面は左上にトリプルカメラ。上が広角、下が望遠、横が超広角の並びになる。Appleのロゴが中央に移動。左側面にサウンドオン/オフボタン、音量±ボタン。下側面にLightningコネクタ、マイク、スピーカー。右側面にサイドボタンとSIMスロットを配置。
6.5型のOLEDは、見た瞬間「やっぱりこれだよ!」と言う感じだ。黒が浮いた感じもなくシャキッとしており、明るさ、発色、コントラスト、視野角も非常に良い。やはり年単位でOLEDを見てしまうと液晶には戻れないと言うことなのだろう。ppiは11が326ppiに対して11 Pro Maxは458ppi(11 Proも同じ)だが、一般的に300ppiを越えるとぱっと見程度であればその差は分からない。
ノイズや振動は皆無。発熱はカメラの連続撮影程度では大丈夫だが、ベンチマークテストなどCPU/GPUに負荷をかけると暖かくなる。サウンドは、スピーカーは十分な出力、幅もiPad(縦位置でステレオ)と同程度となりステレオ感が凄い。イヤフォン出力は、付属のLightningコネクタ接続のEarPodsではなく、Lightningコネクタ/3.5mmジャック経由でSONY MDR-EX800STを使ったが、音が太くピラミッドバランス。ベースやドラムがドスっと響く。
総じてX系と聞けば想像するとおりの仕上がりとなっており、11とはやはりモノが違う感じだ。レンズ部分の好みはあるだろうが、iPhoneとしては何の不満もない筐体だ。