その後、コンシューマー分野ではテープデッキとして「ベータマックス vs. VHS戦争」が起こったが、ビデオカメラでは「8mmビデオ vs. VHS-C戦争」だった。ソニーがVHSよりも小型なベータカセットを記録媒体に使ったムービーカメラをヒットさせると、ビクターがVHSを小型にしてアダプターでの互換性を持たせたVHS-Cを投入した。ベータ vs. VHS戦争がムービーカメラでも起こったわけだが、ソニーなどのベータ陣営は、さらに小型な8mmビデオで対抗するという展開になった。
放送業界でも、「ベータ vs. VHS戦争」があったのはご存じない方も多いだろう。1984年ごろ、ENG用カメラシステムとして、ソニーが押す「ベータカム」と、松下電器とNHK技術研究所が共同開発した「M」の対決が起こった。テープサイズがまさにベータとVHSだったわけだが、1年程度でベータマックス優位で決着した。なお「M」はその後改良した新フォーマット「M II」へ進化し、NHKには大量導入された。
8mmビデオ vs. VHS-Cは、1989年のソニー「CCD-TR55」が「パスポートサイズ」として大ヒットしたことで、決着が付いた。パスポートサイズとはいっても、当時のパスポートは今のより大型である。また縦横はパスポートと同じサイズだが、厚みは相当あった。