海と山をイメージしたデザインの電気自動車=西之表市役所
鹿児島県西之表市は2月、予約制乗り合いタクシー「どんがタクシー」に電気自動車(EV)を導入する。二酸化炭素(CO2)排出量の削減や、燃料費抑制による赤字圧縮が狙い。運用開始までに市内2カ所に急速充電設備を設け、市民へのEV普及につなげたい考えだ。 石油元売り大手の出光興産(東京)との共同事業。経済産業省の補助制度を使い、同社が購入した5人乗りEV4台を無償で5年間借り受ける。現在運用している10人乗りのガソリン車5台のうち、4台をEVと入れ替える。CO2排出量は年間で約6割、燃料費は約7割の削減を見込む。 どんがタクシーは、市などでつくる地域公共交通活性化協議会が民間2社に委託する形で2012年に運行を開始。市街地と国上、住吉、柳原、立山、古田の5地域の利用者宅を結ぶ。 1日最大7便で高齢者を中心に、毎年延べ2万人以上が利用している。料金は1回の乗車につき300円。運転免許の自主返納者や障害者は半額になる。
市は協議会に毎年4000万円以上補助金を出しており、年間2000万円を超える赤字額の圧縮が懸案だった。ガソリン価格の高騰で自家用車の使用を控える動きもあり、代替の交通手段として、どんがタクシーの利用拡大にも期待を寄せる。八板俊輔市長は「EV導入を機に環境・エネルギー問題を考える機運が高まってほしい」と話す。 県内では、薩摩川内市が大型電気バスを一部路線で走らせていたが、故障による運休が多いことなどから18年度末で運行をやめている。