今や新車の車を買えばほとんどの車にバックカメラがついてきます。国土交通省は2021年6月9日にバックカメラや後方検知システムの装備を義務付けることを発表しました。今回の義務化により、どのようなことが期待されるのでしょうか。
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バックカメラの義務化が発表されましたが、実際にはどのくらい後退時の事故が起きているのでしょうか。
公益財団法人交通事故総合分析センターによると、車の後退事故の発生件数2009年に30,000件近くありましたが、2017年には25,000件を下回り減少傾向にあります。
そんな中、2008年から2017年までに後退による死亡事故は610件発生しました。この件数は、同期間の交通死亡事故4万3345件のうちの1.4%に相当します。
安全に後退して事故を減らすために有効と考えられているのが、車の後方部を映し出す「バックカメラ」です。
国土交通省のASV技術普及状況調査のデータによると、乗用車の総生産台数に占めるバックカメラの装着率は、2008年から2012年までは15%前後を推移していましたが、2013年以降は増加傾向にあり、2016年時点で約40%になりました。
国土交通省は2021年6月9日、道路運送車両の保安基準を同日付で一部改正しました。
今回の改正に伴い、車両後退時の事故を防止するため、バックカメラや後方検知システムなどの「後退時車両直後確認装置」の装備を新型車などに順次義務付けると発表しました。
@charlottevslife I think there should be a requirement in a driving test to prove knowledge about different road us… https://t.co/ISOfAhtCEe — Roland Paterson Mon May 17 13:47:30 +0000 2021
@charlottevslife I think there should be a requirement in a driving test to prove knowledge about different road us… https://t.co/ISOfAhtCEe
後退時車両直後確認装置の主な要件として、「車両直後のエリア内の障害物を確認できること」と「確認手段はカメラ、検知システムまたはミラーによること」の2点を設定しています。
また、バックカメラを装着する場合は、車体の後方0.3mから3.5mまでの範囲において、ポールや子どもを想定して高さ0.8mのものを確認できることを条件としました。
国土交通省によると、自動車の国際基準を定めている国際連合欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(WP29)において、「後退時車両直後確認装置に係る協定規則(第158号)」が新たに採択されたことなどを踏まえ、日本でもこれらの規則を導入することを目的として今回の義務化が決定したとのことです。
こういった国際的にも規則が改まっていく中で、バックカメラやセンサー以外にも、安全確認の支援をする機能が今後義務化されていくかもしれません。
義務化の対象となるのは2022年5月以降の新型車。同じモデルで継続して生産される車は、2024年5月以降のものが対象となる予定です。
国土交通省の担当者は義務化について、
「後退時車両直後確認装置の義務化は、自動車後方部に起因する事故の防止が最たる目的です」
と語りますが、実際に車の後退事故を減らすためには、今後発売される新型車だけでなく、現在バックカメラがついていない車にも後付けすることが有効といえます。
後付けのバックカメラや後方検知システムは、メーカー純正品のほか、自動車用品店などで購入可能です。
これまでバックカメラなしで駐車や車庫入れを行ってきた人にとっては、バックカメラは駐車が苦手な人のための装備に思えるかもしれません。
しかし、車の真後ろに入り込んだ子供や障害物は、運転席からではなかなか気づきにくいもの。駐車に慣れているドライバーにとっても、バックカメラや後方検知システムはじゅうぶん役立つアイテムといえます。