もくじ
ドローン撮影は、無人航空機やUAV、マルチコプターなどとも呼ばれる「ドローン(Drone)」を使って、空撮をすること全般を指します。このドローン撮影に関する情報は多岐に渡り、全体像を把握するのは容易ではありません。そこでこの記事では「ドローンによる写真と動画」の撮影について、関連する知識や情報を網羅的にご紹介していきますので、これからドローン撮影に取り組まれる方は、ぜひ、すみずみまでチェックしてみてください。
「ドローン撮影」の記事を掲載している本サイト『ビバ!ドローン』は、ドローンによる空撮の受託事業を行なうドローンデパートメントが運営するウェブサイトです。この記事には数多くのドローン撮影や点検を実施してきた「現場の知識」や「プロの情報」を集約して、お届けします。
「ドローン撮影」をして、写真や動画などの「成果物(撮影データ)」を入手するためには2つの方法があります。ひとつは自分でドローンを飛ばして撮影する方法。もうひとつは専門業者にドローンの飛行と撮影を依頼する方法です。
この記事では、先に自分でやる方法に関連する情報を記載し、最後に会社、業者に依頼する際に必要な情報をまとめています。もし、ドローン撮影の依頼に関する情報だけをお探しの場合は、記事後半の「6.ドローン撮影 依頼する前にコレだけは知っておこう!」からお読みください。
ここからはドローン撮影を自分でやりたい、という方向けに基本的な情報をお届けします。資格や法律・規制、飛行場所、機体などの情報を順に記載していきますので、ドローン撮影をこれから始めるという方は一通りチェックしてみてください。なお、すでに飛行経験があり基礎知識をお持ちの方は読み飛ばして、記事中頃の「写真テクニック編」や「動画テクニック編」までお進みいただくことも可能です。
まず、「免許」の辞書的な定義をチェックしてみましょう。
免許には、身近な例で言うと自動車「運転免許」があり、これは各都道府県の公安委員会が認定するものです。また、これを所持せずに自動車などを運転することは法律違反にあたり、罰則の対象になります。
しかし、ドローンに関してはこのような認定を官公庁が直接行なうことはありませんし、「国土交通省が航空法にもとづきドローン飛行免許を発行する」ということありません。ですから、ドローン免許は存在しないのです。
インターネット上や一般的な会話の中で「ドローン免許」という言葉を目にしたり耳にしたりしたことがあるかもしれませんが、これは何かと言うと、ドローンの民間資格の認定を「ドローン免許」と呼んでいるにすぎません。
上記の通り、ドローンに関する公的資格は存在しないため、「免許を持たない飛行」も違法ではありません。一方で、業界の慣例として、ドローンに関する業務を行なう場合に取得しておくことが望ましいみなされることが多い「民間資格」があります。
RCヘリ時代からの経験があり、ドローンのフライトに長けたオペレーター(パイロット)さんなどは、あえて民間資格をとらない場合もあるため、必ずしもこの資格だけが技術を証明するものではありません。また、民間資格所有者でも、フライト経験が少なければ即戦力ではない、という現状もあるため留意が必要です。
『TOEIC』という英語コミュニケーション能力を測るテストがありますが、このスコアが高い人が全員「ビジネス英語でバリバリ交渉ができる」かというとそんなことはありません。また、完璧な英語を話す人でも『TOEIC』を受験したことすらない人もいるわけです。ただし、英語に関わる仕事をする場合に『TOEIC』のスコアが能力を証明するための指標として広く知られていることは間違いありません。ドローンの資格についても、これと似たようなものと言えるかもしれません。
日本国内でメジャーなドローンの扱いに関する民間資格を発行する団体は 『JUIDA』『DPA』『DJI CAMP』の3つです。なお、この3団体は国土交通省が認定した民間の講習団体ですが、「国土交通省(官公庁)が直接認定している」わけでない点は注意が必要です。資格取得後に「ドローン免許を持っているよ」と言うと誤解を招くので、「○○の認定資格を持っています」という表現をするのがベターです。
筆者は勝手に“ドローン資格御三家”と呼んでいますが、これに座学系の『ドローン検定』を加えて、“ドローン資格四天王”としても良いかもしれません。
ドローンに関連する資格の詳細は、こちらの記事にも記載がありますので、ぜひ、併せてチェックしてみてください。
ドローンの操縦だけでなく、ドローン撮影についての技能を習得していることを証明する認定制度として、ドローン撮影クリエイターズ協会が「ドローン撮影技能士コース」を開設しています。スタートしたのが2018年のため、他の資格と比べると知名度は低いかもしれませんが、ドローン撮影にフォーカスした認定制度は珍しいため、空撮に特化したキャリア形成を考えているオペレーター(操縦士)の方は要チェックです。
» DPCA |一般社団法人ドローン撮影クリエイターズ協会
Google検索などで「ドローン免許」という単語がたくさん検索されている現状などを踏まえ、あえて「ドローン免許」というワード記載していますが、官公庁が発行するドローン免許はまだ日本には存在しないということをご認識いただければと思います。
上記の内容の通り、ドローン撮影の「免許」は存在しませんし、民間資格の取得も必須ではありません。そのため、自分の敷地や所有者の許可を得た場所で飛行する場合は、航空法などの関連法規を守れば誰でも飛行が行なえます。ただし、この「航空法などの関連法規」には、いくつか制限が存在しており、「慣れないとややこしい」ものでもありますので、以下でその詳細をチェックしていきましょう。
まずは、ドローンの飛行に関する規制の中心的な役割を果たす航空法(国土交通省管轄)について、チェックしてみましょう。なお、航空法の規制対象になるのは、飛行重量が200グラム以上の無人航空機(ドローン)です。
下記の場所や方法でドローンを飛行させる場合には、事前に申請を行ない許可や承認を得る必要があります。ドローン撮影に関わる可能性が最も高いのは「人家の密集地域」での飛行で、日の直前や日没後などの景色や夜景を撮影したい場合は「夜間飛行」の許可が必要です。一方で物件投下は荷物輸送や農薬散布に関わるもので、危険物の輸送はガソリンやガスタンクなど搭載する場合に関連する項目なので、一般的なドローン撮影時に影響があることはありません。
2018年の4月2日からは、国土交通省へのドローン飛行許可、承認申請がオンラインでできるようになりました。
今回、2018年の4月2日から可能になったオンライン申請については、国土交通省が発表した資料で以下の通りそのメリットが紹介されています。
また、今回可能になったオンライン申請で手続きが行なえる内容は以下の通りです。
オンラインでの飛行許可申請が行なる『ドローン情報基盤システム』のトップページは以下の通り。ここから申請作業が行えます。
画像出典:オンラインサービス専用サイト(ドローン情報基盤システム)、以下同じ
郵送、FAXや持ち込みでの申請先は下記の通りです。
申請先が東京航空局か大阪航空局かわからない場合は、こちらをご覧ください。
なお、国土交通省の各窓口へは郵送、持参、オンラインで申請が可能です。また、申請に要する期間については、国土交通省が「飛行開始予定日の少なくとも10日前(土日祝日等を除く)」までに申請をするように、としていますが、実際は余裕をもって飛行予定日の1ヶ月前をメドに手続きを始めるのがおすすめです。
下記のエリアでの飛行をする必要がある場合は、該当するエリアの空港事務所との調整が必要です。
上記の例に該当する場合は管轄の空港事務所に問い合わせと飛行の申請を行ない、許可を得る必要があります。全ての空港から6km以内エリアがこの規制範囲に該当するほか、羽田や成田、中部、関西、釧路、函館、仙台、大阪国際、松山、福岡、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、那覇の空港周辺では、24kmという広範囲でドローンの飛行が規制されており、「空港周辺」という認識がなくても該当エリアになっている場合もあるので注意が必要です。
各空港事務所の連絡先については、下記のリンク先からご確認ください。
» 本省運航安全課及び空港事務所の連絡先等一覧
申請方法や手続きついては各空港により異なる場合があるため、まずは飛行前に電話などで空港事務所に連絡をして手順を確認するのがおすすめです。
ドローンに関する規制を定める中で中心的な役割を果たす航空法においては「無人航空機の飛行等に関する罪」が定められており、この罪に該当するとされた場合は五十万円以下の罰金に処する
とされています。
実際に、航空法の規制に違反して無許可でドローンを飛行させた人物が逮捕される事例も発生しており、ドローンに関する規制に違反する悪質な行いをした場合には厳格に処罰されることが明らかになっています。
» 無許可でドローン飛ばした疑い 福岡で全国初の逮捕者
上記の航空法の他にも、ドローン撮影(飛行)に関連する法律やルールがありますので、主な内容を以下にピックアップしました。
ドローンに関する利用の制限には、法律で明確に規制されていたり、罰則が設けられていたりするわけではないけれど、「やってはいけないこと」や「やらないほうが良い」とことも存在します。以下では、国土交通省のウェブサイトにある航空:無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルールに記載のある「無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全な飛行のためのガイドライン」から「うっかりやってしまうと危ない」事例をピップアップしてみましたので、ぜひ、チェックしてみてください。
また、防衛省、警察庁、国土交通省、外務省が連名で、米軍施設の上空でドローンなどを飛行させる行為をやめるよう「お知らせとお願い」をするポスターを2018年2月20日に公開しており、これも重要な内容あのであわせてご確認ください。
なお、一般道の上空を飛行する場合は事前に管轄の警察署に連絡と相談をするのがおすすめです。安全性に関するアドバイスがもらえるだけでなく、万が一現地で通報された際などにも状況が深刻化するのを防げるため、事前に管轄の警察署とコミュニケーションをとっておくようにしましょう。
加えて、河川敷などでドローンを飛ばす場合は河川法、海は港則法や港湾法、公園内は自然公園法などが関わってくる可能性もありますので、これらに該当するエリアでの飛行を検討している場合は事前に管理者に相談と確認をするようにしましょう。
また、道路上で撮影をする場合に他人の車を無断で追尾して撮影するなどした場合はプライバシーの侵害とみなされる可能性があります。くれぐれも不用意に周囲の人に不快感や不安を与える方法でドローンを飛ばすことがないよう要注意です。
さらに、当たり前過ぎるとかもしれませんが……アルコールを摂取した(酔った)状態や、風が強い状況下や機体に損傷がある場合も飛行しないよう注意喚起がなされていますので、このようなケースに該当する場合も飛行を控えるべきであることは言うまでもありません。
上記のような「場所に基づく規制」を確認していくと「いったいドコで飛ばせば良いんだろう?」という疑問がわくと思いますが、「ここならだいじょうぶ!」と断言場所は限られており、特に都市部では貴重だというのが実情です。『ビバ! ドローン』では、今後、各地でドローンの飛行が可能な場所をピックアップしてご紹介する記事を掲載していますのので、ぜひ、ごらんください。
» ドローン練習場に関する記事の一覧
ドローン撮影用の機体とひとくくりにいっても「ピンからキリ」まであるのが事実。ここでは、代表的な空撮用ドローンの機体を値段別ご紹介します。
カメラ交換式のドローンで、飛行速度や安定性においては屈指の高性能を誇る機体。別売りのカメラ『Zenmuse X7』と『DL/DL-Sレンズセット』(合計税込897,800円)とセット使用すれば、本格的な映像制作に使用できるプロクオリティの撮影用ドローンです。
折りたたみができるコンパクトなボディに4K撮影機能を備えた高性能ドローン。アウトドアでの撮影など、荷物のサイズや重量に制約が大きい場合はまっさきにチェックするべき機体です。なおMavic 2シリーズには1インチセンサーを備えた『Mavic 2 Pro』とズームレンズを備えた『Mavic 2 Zoom』の2モデルが存在します。
ジンバルを搭載せず、カメラもHD720p画質の撮影までと、ベイシックな仕様のため80gと軽量で航空法による規制の対象にならない機体です。他のドローンに比べると価格も手頃なので、本格的なドローン撮影には向かないもの、操作練習用として割り切って購入する場合はおすすめです。
空撮ほどメジャーではありませんが、水中でもドローン撮影が可能です。人間が水中に入ることなく、スキューバーダイビングのような映像を撮影したり、点検などを行なったりするための機体として以下のようなドローンが発売されています。
ドローンによる撮影を自分(自社)で行なう場合に、まず、知っておくべき基本的なテクニックをまとめました。これだけで「プロ並みの映像が撮れる」というわけではありませんが「最初の入り口」として参考にしてみてください。
(↑)こんな操作は、ダメぜったい。
ドローンのプロポ(コントローラー)の操作は、緊急時以外は常にゆっくりと行なうようにしましょう。
なぜ、急激な操作が良くないのか? という理由は3つあります。
1つめの理由は、ドローンの挙動に勢いがつきすぎて、意図せぬ場所までオーバーラン(フライ)してしまうこと。「車は急には止まれない」と言いますが、空中に浮いていて地面との摩擦がないドローンは、車よりももっと急な停止や方向転換が苦手です。
2つ目の理由は、空撮などを行っている際に写真や映像がブレてしまうからです。スリリングな演出をしたい場合などを除き、ガクガクと揺れる動画が良いことはありませんので、滑らかで安定した映像を撮るためにも急激なドローンの操作をさけるようにしましょう。
ジンバル(スタビライザー)を搭載したドローンであれば、ドローン本体の傾きや揺れはかなり吸収されますが、実は操作が急激すぎるとジンバルが大きく動きすぎプロペラガードなどが映像に写り込んでしまうことがあります。これが、ドローンを急激に操作するべきでない3つ目の理由です。
空撮をする際は特に、そうでない時でも急激な速度変更や方向転換を行わずゆっくりと操作するべき、というのが以降のすべてのコツに共通するドローン操作のキホンです。練習時の目安としては、人が歩く半分以下の速度で移動させていくイメージでドローンをコントロールすると良いでしょう。
また、そのような速度感での操作を実現するためには「スティックが傾いたかわからないくらいゆるやかに動かす」「グイグイと動かさず、ジワッと動かす」ことが大切です。
(↑)普段の生活では意識しない高さを感じられるようになるのが第一歩。
航空法上による規制の上限であれば150メートル未満まで、実際の空撮でも30メートル前後の上空まで、空を飛ぶドローンを自在に操るためには、地上に居る人間の感覚を超えた高さ認識能力を養う必要があります。
具体的な方法としては、5メートルごとに上昇とホバリングを繰り返し、アプリの画面で高度を確認します。これを繰り返すと、自分が「5メートルあげた」と思ったときにアプリ上の高度表示もピタリと5メートルを指しているようになってきます。最後にはアプリの表示を見なくてもドローンがどの高さにいるかを「感じられる」ようになることを目指しましょう。
(↑)奥行き、距離感をつかむ練習にはカラーコーン(三角コーン)などを活用するのがおすすめ。
高さ感覚をつかんだら、次に必要なのは奥行きの感覚です。
この感覚をつかむためには、ドローン練習場に10メートル間隔で「カラーコーン」や「バツ印」を用意して、目視のみで「10メートル進んだ」と判断したタイミングでホバリングをします。そこでカメラを真下へ向けてして、画角の真ん中に三角コーンや☓印があればOK。ずれてれば、その距離が自分の奥行き感覚と実際の飛行距離の差になるので、アジャストするようにしましょう。
当然のことながら、この練習の際にはアプリの距離計を見てはいけません。また、ドローン機種を自分の方に向けた「対面飛行」でも同様の練習を行なうのがベターです。
最初は自分の目線と同じ高さで飛ばしながら練習をし、さらに5メートル、10メートルなどと高度を変えて練習をすれば、高さと奥行きを直感的に感じ取れるようになります。こうなればしめたもので「ドローンがどこにとんでいくかわからない」という不安を感じることなく、自在に飛行させられるようになります。
(↑)8の字飛行のルートをアプリで記録でした例。
最初は横8の字、慣れてきたらより奥行きのある縦8の字を練習しましょう。
飛行ルートは『DJI GO』などのアプリで確認できるので、これを見て自分が実際に飛んだラインがどれだけキレイな「8」かを見てみましょう。どれだけしっかりと「8」を書くことを目指しても、最初はどこかに乱れが見えるので、そこから自分が苦手な操舵角がわかります。膨らみやしぼみ、ギザギザなどが見えたら、そこが自分が不得意な操舵角になるので、集中的に練習しましょう。
なお、ドローンの操縦方法(プロポの設定)には、モード1とモード2の2種類がありますがモード1では左手のみの操作で「8」の字飛行ができるため比較的容易です。
一方で、モード2では、旋回中に左右のスティック(ラダーとエルロン)を操作するバランスとタイミングがずれる、ときれいな旋回ができません。うまく操作するコツとしては、ラダーを入力する前にほんの少し、エルロンを入力する(当て舵)をすることで、これによりスムーズな旋回ができるようになるはずです。
(↑)ノーズインサークルの例。円の左下にかけて円が滑らかではないのは微調整によるズレが生じたため。映像の揺れなどにつながるため本来はこのような「チョコチョコ修正」はNGです。
ノーズインサークルは、機首を被写体や操縦者など1つの対象に向けたまま、そこを中心点にして旋回する飛行方法です。ミュージックビデオなどの空撮映像で多用される飛行方法のため、動画空撮の現場ではニーズが多く、また、失敗が許されない類のテクニックでもあります。
基本的な練習として、操縦者を中心として5メートル、10メートルなどの一定距離を保ちながら回転する方法がおすすめです。また、キレイな正円を描くコツとしては、旋回が強くなり過ぎそうな時は、エレベーター(上昇)を軽く入れることで機首がまわり過ぎることを防ぐことができます。だたし、エレベーターの入力が強すぎると、機体がきつく前傾しプロペラガードが映像などに映りこむため、注意が必要です。
(↑)GPSを切って練習しておけば、屋内などでGPS電波を受信できない場所でも飛行が可能になります。
日本で最もメジャーなDJI製のドローンはGPSや気圧センサーなどを搭載しており、それらの補助を受けて自動で機体を安定させる機能を備えています。これらのアシストがすべてオンになっていれば、プロポ(コントローラー)から手を離していても、ドローンは1カ所からほとんどズレることなくホバリングを続けています。
このようなアシストを利用することで安定した飛行が可能になるのは事実ですが、室内で飛行する場合やライセンス試験の際などにはGPSをオフにする必要があることもあります。また、アシストに頼りすぎると、GPS信号をロストした際にまともに機体をコントロールできない可能性もあるため、脱初心者を目指して練習する場合はGPSをオフにして水平維持機能のみをオンにした「ATTIモード」で練習をするのがおすすめです。
なお、GPSをオフにした飛行では、機体の挙動が通常より不安定になる場合がありますので注意が必要です。周囲に人や物がない場所で飛ばすか、室内やネットに囲われた場所で練習をするなどの対策をするようにしましょう。
(↑)Mavic Proをシミュレーターで操作している様子。実機の前に障害物があるとセンサーが反応して警告(画面左上、赤字)を表示するあたりがリアル。
『DJI GO』もしくは『DJI GO4』アプリには、フライトシミュレーター機能が搭載されています。もちろん、屋外での飛行を完全にシミュレーションできるわけではありませんが、墜落の心配もなく夜中でも人口集中地域でも練習できるといった簡便性がなによりの魅力です。実機で飛ばす前に、操作に呼応する機体の動きを理解するためにはもってこいの方法なので、ビギナーの方は、ぜひ活用してください。
ドローン撮影の上達には、良い映像を見るのが一番。最初は自分が「真似したい」と思える表現を見て、そこから学んで行くのがおすすめです。この項では国内外の優れたクリエイターの作品をピックアップしてご紹介していますので、「ドローン撮影インスピレーション」「空撮のお手本」としてご活用ください。
人間の視点を超越した真俯瞰からのショット。初めてみた瞬間には「何を見ているかわからない感覚」が立ちあがり、理解が追いつくにつれて風景の美しさが染み込んでくる作品。見るものの感覚をゆさぶり、視点を変えることで風景を再定義する構図選びが見事です。
AKB48やグレイが出演するミュージックビデオの空撮パートを撮影するなど実績を持つ株式会社ヘキサメディア。同社の公式YouTubeチャンネルで四日市市の工場夜景を空撮した映像が公開されています。みどころは動画中2:00頃からで、工場内を見下ろす角度へと高度を上げていくシーンが見どころで、メインとなるオブジェクトをど真ん中に配置し、タンクや煙突が山型に見えるポジションを維持しつつ、工場の奥行きが感じられる高度まで滑らかに上昇していくカメラワークが秀逸です。
企業経営者、コンサルタント、そしてドローンレース解説に空撮ドローングラファーとマルチに活躍する大前創希氏の作品。発電用の巨大な風車が、陸と海の間に吸い込まれていく構図で北海道の大地の広大さと奥行きをストレート表現しています。
ハリウッド映画かと見紛うばかりの圧倒的ハイクオリティ映像を制作するJR Alli。ダイナミックなカメラワークとスピーディーなトランジションの計算しつくされたコンビネーションとドローンショットが生むスリリングな映像はまさに圧巻というほかありません。一朝一夕にマネができるレベルではありませんが、個人クリエイターがここまでの映像を作り上げられる、という実例として必見です。ドローンショットは01:16頃から。
特徴的なカラー・グレーディング(色補正)とクールな音楽にあわせたラフな展開が魅力のSam kolder(KOLD)作品。このアイスランドVlogは友人2名という少人数で制作した映像ながら、予算を注ぎ込んだTV番組すらも圧倒するレベルで見る人を引きつける作品に仕上がっています。04:13頃で見られる完璧というほかないドローンショットの構図に、彼らのフィルムメイカーとしてのレベルの高さを感じます。
ジンバルを搭載しない小型ドローンは本来は撮影に不向きですが、小型で軽量なため屋内などでトリッキーな映像が撮れるとあって、映像制作の現場で注目を集めています。
「ドローンを使った撮影を依頼したい」と思っても「誰に頼めばいい?」「何を伝えればいい?」という疑問が浮かびます。ここでは、自分でドローンを飛ばすのではなく、専門業者や会社に依頼する場合に必要な情報をまとめています。
ドローン撮影の前に、まっさきに明確すべきは撮影の目的です。具体的には以下のような用途で撮影されることが多いので、このような状況に合致する場合は、ドローン撮影のアウトソーシングを検討するのがおすすめです。
発注側の連絡先などの基礎情報に加えて、案件の概要として撮影日時や場所は事前に確定させておく必要があります。また、天候などの影響により、飛行(撮影)ができない可能性がありますので、1週間程度の間をあけて撮影予備日を設定しておくことがおすすめです。
DID地区と呼ばれる人口集中地区と空港周辺は、飛行が制限されています。事前に必要な手続きをすれば飛行が可能な場合が多いですが、一段手間と難易度があがるため、事前に発注者側でも確認をして状況を把握しておくことがおすすめです。
なお、人口集中地区と空港エリアに該当するかは、以下の地図から確認可能です。
» 地理院地図(人口集中地区・空港等の周辺空域)
また、その結果を踏まえて申請が必要な場合はオペレーター側で手続きをするのか、発注者側で手続きをするのかなどを明確にした上で依頼するようにしましょう。なお、無許可での飛行は明確な航空法違反となりますので絶対にやめましょう。
プロのオペレーターを相手にする場合でも「ぜんぶお任せ」で発注者のイメージ通りのアウトプットが得られることはほぼありません。自分の中で必要なカットをできるかぎり正確にイメージを箇条書きやコンテ(下手な絵、殴り書きでもあったほうが良い)を用意すると、望む結果に近いデータが得られる可能性がグッと高まります。
また、納期を明確にすることはもとより、納品データの形式や納品方法についても事前に確定させておく方がスムーズです。
第三者が所有する私有地上空で撮影を行なう場合は、原則として事前に許諾を得る必要があります。国土交通省などへの申請とは異なり、地権者への許諾は発注者が行なうことが一般的なので、事前に相許諾を得ておくか、連絡先を確認しておくとスムーズです。
また、複雑な撮影をする場合はロケハン(撮影場所の事前確認)をしたり、周辺に電波障害を引き起こす可能性のある施設(高圧電線など)がある場合はテスト飛行を行なうほうが望ましいため、そのための時間がとれるかどうかも事前に確認しておくべき項目です。
「ドローン空撮を発注したい」と思ったら、必要事項を記入するだけで見積もりや発注の際に必要になる情報を整理しておける「ドローン空撮:発注前に決めることシート」を作成しました。事前にこのシート内の項目を埋めておけば、オペレーターやオペレーター紹介会社への連絡する際のやりとりがスムーズになるはずなので、ぜひ、ご活用ください!
ドローン撮影といってもバリエーションが複数あり、ウェブサイトなどに掲載する素材として写真や動画を撮る場合と、点検、測量の撮影は、どちらも「撮影」ですが似て非なるスキルが必要です。そのため、ドローン撮影を依頼するための会社・業者選びの基準となるスキル(技術)をまとめてみました。依頼前に過去の実績などを問い合わせて、以下のようなスキルがあるかどうかを確認するのがおすすめです。
なお、一部のベテランオペレーター(パイロット)を除いて、先にご紹介した「民間資格御三家」を取得していない操縦者はスキルを担保する情報がないため発注先としておすすめできません。また、保険に加入していない、使用機材を明らかにしない、といった場合も要注意です。
一般的な写真撮影においても「町の庶民的な写真館」と「著名写真家のスタジオ」で撮影費用が大きくことなるように、ドローン空撮においてもオペレーターの実績、スキル、機材、知名度などにより価格は異なります。そのため、あくまでも目安でしかありませんが、空撮を依頼する場合の価格は以下の通りです。
最安値30,000円から10万円(税別)前後 ※ 人件費、機材費、交通費等別 ※ 対人・対物保険料、手配料、調査料込み
また、撮影した動画を編集する場合は、追加で税別2万円程度、施設のプロモーションビデオなど本格的な撮影・編集が必要になる場合は追加で15万円が程度の上乗せが必要です。
また、フライト回数が増えるたびに金額はあがるの、追加1フライトにつき税別2万円程度の費用が追加されます。
最安値30,000円(税別)から15万円(税別)前後 ※ 人件費、機材費、交通費等別 ※ 対人・対物保険料、手配料、調査料込み
なお、フライトの回数が増えたり、拘束時間が長くなる場合、撮影地への移動に時間がかかる場合、測量などに専門的な知識や技術が必要になる場合などは、価格が上昇します。
また、天候不順などの事情を除き、撮影の急なキャンセルには料金が発生します。キャンセル料は撮影の4日前までは無し、3日前は総額の25パーセント、2日前は50パーセント、1日前は75パーセント、当日は100パーセント程度となるのが一般的です。
この記事では、ドローン撮影全般に関する情報を「自分で撮影する場合」と「撮影を依頼する場合」にわけてご紹介しました。
かなりのボリュームの情報ですが、ドローンを飛ばすために守らなければならない法律や知っておくべき知識や情報、そしてマナーは少なくありません。ドローン撮影を自力で行なう場合も、依頼をする場合もひと通りの情報に目を通しておくのがおすすめです。
ルールとマナーを守って、安全で役立つドローン撮影をお楽しみください!