ドローンによる撮影とスクールの運営、ドローンビジネスのコンサルティングなどを手がけるドローン・フロンティア(東京都荒川区)。現在、年間約130棟の点検と累計400人ほどのスクール参加者を持ち、国内屈指のドローン専門企業として成長を続けている。建設リフォーム業界とドローンの親和性も大きく注目されるなか、同事業を起こした府川雅彦代表に、サービスへの想いや今後の展望について聞いた。
【聞き手/報道部長 福田善紀】
――ドローン活用が建設業でも徐々に浸透してきました。点検事業を展開しているそうですね。
流れとしてはドローンを飛ばし撮影して、そのデータを解析しています。最初は撮るだけで解析は外注していたんですが、現在では解析までを一貫して行っています。ドローンの外壁調査はまだ全体の数%程度ですが、解析の精度さえ担保できれば、ドローンの方が圧倒的に早く、安く効率的です。
――今後はドローンによる点検に置き換わるのではないでしょうか。
何より(点検のために)足場を組まなくて良いのは大きいです。たとえばタワーマンションでは解析には多少時間がかかりますが、現場撮影だけなら1日で終わる。全面調査する場合には、時間とコスト面で大きなメリットがあります。
外壁点検時のデータ解析まで内製化
――そもそもドローン事業はどんなきっかけでたちあげたのでしょう。
起業する前は、清掃会社を経営していました。パートナーになる年下の知人が不動産会社に勤めていて、ドローンスクールの練習場を探している顧客の物件仲介を担当したんです。その話を聞くうち、ドローンがビジネスで活躍する場面が多いことを知りました。これは面白いなと、彼と一緒に会社を立ち上げました。
――当初は軌道に乗せるのは難しかったのではないですか。
ドローンどころか空撮に関する知識は皆無だったので、まずは勉強することからでした(笑)。人が立ち入れない場所を撮影して点検などができるので、直感的にドローンが活躍する場面は増えると思ってはいましたが、起業した5年前は市場が全然ない状態。当初からドローンを使った点検や赤外線の調査をやりたかったのですが、とりあえずは空撮と講習を始めました。
――ニーズが出てきたのはどのくらいからでしょうか。
起業2年目の2018年頃からでしょうか。ひたすらいろんな勉強や実証実験をやってドローンのノウハウをかなり持っていたので、ベンチャー企業など数社のドローン事業にコンサルで入り、設計事務所やゼネコンと連携して実証実験できるようになったんですね。農業や災害対策、鳥獣対策などいろんな分野を検討したんですが、建設業でのドローンソリューションに絞りました。2019年の2月に足立区と災害協定を結び、そのくらいから業績が伸びてきました。
――新しい事業として、屋根点検アプリ「屋根はかる君」を開発されましたね。
屋根の真上から写真を撮って、軒先一辺を測れば屋根面積が算出できる機能に特化した、操作が簡単なアプリです。勾配に関しても横から撮れば分度機能がついていて測れますし、寸法、勾配、面積が簡単に測れます。ここから3月にかけて協力企業とテストを行い、できれば5月くらいをめどに提供できればと思っています。
――建設業でのニーズも高そうです。
自分たちでドローン操縦して、屋根に登らなくてもある程度の業務が完了しますし、導入ハードルを下げて安価で提供しようというのがコンセプトです。ドローンがあっても使ってないという会社も多いですし、その場合は導入費用がかからない。ゼロからスタートする会社にはドローン講習からしっかりサポートしますし、いつでも始めてやめられる定額アプリなので、入れない理由がないですね。
――ドローン撮影と点検ノウハウの提供などで横展開をされるんですね。今後の構想は。
点検も講座もアプリも、それらのノウハウを提供して終わりというのではなく、アフターフォローしてお客様や業界全体の効率化やブラッシュアップを目指したい。それが売上アップの近道だと思いますし。そして、僕らがほしいのはデータの蓄積。それらを使って、また新たな価値を創造できればと思っています。