コンシューマー向けのドローンが登場して以来(それほど昔のことではないが)、新たな空飛ぶマシンの購入を決めるには、さまざまな妥協点を検討しなくてはならなくなった。
高画質を求めると、操作が難しい大きなドローンが必要になる。持ち運びできるものを求めると、映像は安っぽくなってしまうだろう。飛ばしやすさを求めると、そよ風に吹かれただけでバラバラになってしまいそうな、おもちゃっぽいものを選ぶことになる。
世界有数のコンシューマー向けドローンメーカーである中国のDJIは、この問題を折りたたみ式ドローン「Mavic Pro」で解決しようとしてきた。飛ばしやすくて折りたたみ可能なドローンは数々の条件を満たしてきたが、残念ながらカメラの画質はよくなかった。
だが、今年になって発売された折りたたみ式ドローン「Mavic Air」は、飛行性能が高くて持ち運びでき、カメラの画質がいい。つまり、あらゆるドローンの比較検討はMavic Airから始まり、Mavic Airで終わると言っていい。
Mavic AirはProよりも小さく、奥行き6.6インチ(約17cm)、幅3.2インチ(約8cm)、高さ1.9インチ(約5cm)だ。奥行きと高さが1インチ(約3cm)ほどコンパクトになっている。
そして名前の通りで、大幅に軽量化されていることにも驚かない。Mavic Airがわずか約425gであるのに対して、Proは約737gだ。この軽さなら、ドローンをポケットのジャケットに入れても不自然には感じないだろう。
リモコンはスマートフォンを画面代わりに使うが、デザインはすっきりしている。そのジョイスティックは取り外し可能で、リモコンの本体に収納できる。
だが、名前にだまされてはいけない。「MacBook」の世界では「Pro」が製品ラインナップの頂点に立ち、「Air」は非力である。これに対してMavic Airは、プロ仕様の機能性を備えたマシンだ。
Mavic AirとProは、どちらもカメラが4K画質の動画撮影に対応している。しかし、Proでズームすると、その映像は使い物にならない。性能不足をデジタル処理で埋め合わせようとするからだ。
またMavic Proでは、いちいち画面をタップして焦点を合わせなくてはならない。こうしないと画像がぼやけてしまう傾向があるのだ。両手でリモコンを操作しているときに、そんなことはしたくないだろう。
ところがMavic Airの映像は、本当に何もしなくてもとても素晴らしい。わずかに広角のレンズ(24mm、Proは28mm)を備えているため、広い範囲の景色を撮影するのに適している。焦点を合わせるのにも指先で画面をタップする必要はない。
なかでも優れているのは4K動画の撮影性能だ。動画のビットレートがMavic Proの60Mbpsに対して、Airは100Mbpsなのである。このため全体の細かいディテールまで撮影できる。また、ダイナミックレンジも広いようだ(この点については厳密には比較できていない)。
Mavic Airは、賢さとセンサーの性能でもProより優れている。障害物を回避する機能について、Proは正面の物体だけに対応している。これに対してAirは、前方と後方の物体を検知できる。