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グリスロに乗って地域を巡る住民ら=館山
館山市西岬地区東地域で、「グリーンスローモビリティ」(グリスロ)を利用した観光振興と移動支援を兼ねた実証実験が始まった。期間1(24~来年1月7日)は予約運行、期間2(8~15日)は定時定路線運行で、観光客や地域住民の移動ニーズを検証する。グリスロとは、時速20キロ未満で公道を走る電動車。人口減少による公共交通の衰退や高齢化による車移動の減少を補うため、各地で実証運行が始まり、平成30年から国交省も推進している。今回は、観光庁の補助を受けたJRバス関東と東京大学との共同研究で、同地区に2台のグリスロを配置し、滞在型観光の充実化や移動支援の実証実験を行う。別途、1~2人乗りの電動車(コムス)の活用を年明けに予定している。対象となるのは、塩見、浜田、見物、早物、加賀名、波左間区。期間1では、宿泊施設などエリア内約15の指定施設から予約を受けてJRバス関東館山支店OBのスタッフが迎車。地域内の側道をゆっくりと走行して、目的地へ移動し、観光案内も行う。予約がない時間帯は、住民の移動支援の予約も受け付ける。期間2では、波左間―見物、塩見―浜田の2ルートに分け、バス停や宿泊施設を結んで定時定路線で運行。それぞれ午前9時、11時、午後1時、3時台にルートを1周する予定で、郵便局や診療所など、住民の移動ニーズ把握にも役立てる。観光客のアンケートでは、「海や景色を感じることができた」「ドライバーとの会話が楽しかった」など、おおむね高評価。地元の80代女性は、「少し前に足を手術して歩くのに支障があったが、久々に地域をゆっくり回ってお茶もできて良かった」と交流を楽しんでいた。同支社では、利用結果を見ながら、16~31日の運行を検討するとしている。
房日新聞