イノシシの農作物被害対策の実証実験で設置された撃退装置「モンスターウルフ」=小矢部市末友
小矢部市は、イノシシなどの有害鳥獣がもたらす農作物被害対策として、オオカミを模した撃退装置を導入し、威嚇音や光などで追い払う実証実験に乗りだした。中山間地の末友地区に装置を設置して効果を探り、有害鳥獣駆除を担う人材の高齢化対策や、電気柵の維持管理の負担軽減につなげる。●県内で初導入 撃退装置「モンスターウルフ」は長さ約120センチ、高さ約80センチで、野生動物が近づくと赤外線センサーで感知。目の部分の発光ダイオード(LED)ライトを点滅させながら首を左右に振り、オオカミの声などの威嚇音を発する。市によると、全国約60カ所で活用され、県内での導入は初めてとみられる。 イノシシが天敵のオオカミと勘違いし、防衛本能から寄りつかなくなる効果が期待される。威嚇音は、獣の遠ぼえや銃声など80種類以上あり、動物が音に慣れることを防ぐ。収録音源も追加可能で、桜井森夫市長が「山へ帰れ ここはお前たちの来るところではない」と一喝する声も採用した。 末友地区では、2019年度に43頭、20年度に13頭、今年度は11頭(8月現在)のイノシシが捕獲された。地元住民によると、おりにかかっていない個体も一定数いるとみられ、畑の周囲にはイノシシが荒らした痕跡が点在している。 市は9月補正予算で対策費として60万円を計上し、撃退装置に加え、赤外線センサー搭載のカメラ5台を導入した。装置周辺に設置し、カメラに映ったイノシシの行動を検証、クマやシカなどへの効果も調べる。 効果が確認できれば、他地区にも移設して市全域に「追い払い効果」を広げる方針で、市農林課の担当者は「中山間地での農作物被害を軽減し、長期的に農業に従事できる体制を整えたい」としている。