ソニーは、1.0型イメージセンサー採用カメラを搭載したスマートフォン「」を発表した。今回、いち早くの実機に触れる機会を得たので、簡単に紹介する。
の詳細については、すでに記事を掲載しているので、本稿では実機写真や、その後の取材で判明した情報などを紹介する。
まず外観だが、フラッグシップモデルのXperia 1 IIIと比べると、かなり雰囲気が異なっていると感じる。平面的かつ直線的な筐体となっている点に大きな違いはないが、側面はXperia 1 IIIではほぼフラットとなっているのに対し、では波形に溝が付けられたデザインを採用。これによって、重厚なイメージが伝わってくる。
この側面デザインについては、しっかりグリップできることや、この溝によって本体がそれほど厚く見えない効果もあるという。
本体正面下部側面左側面上部側面右側面背面のサイズは、72×166×8.9mm(幅×奥行き×高さ)となり、Xperia 1 IIIと比べると、幅と奥行きが1mm、高さが0.7mmそれぞれ大きくなっている。実際に双方を横に並べてみると、確かにの方がやや大きい。とはいえ、その差は横に並べて初めて分かる程度で、通常はほとんど気にならないだろう。
重量は211gと、200gを超えている。こちらもXperia 1 IIIと持ち比べると、重くなっていることがしっかりと伝わってくる。ただ、筆者の感想では、こちらも数字ほど重く感じなかった。これは、重量バランスなどもあるのかもしれないが、見た目が重厚な印象のため、それほど重く感じなかったのかもしれない。このあたりは、実際に家電量販店などで展示機を手にするなどして確認してもらいたい。
Xperia 1 III(左)との比較: 正面Xperia 1 III(左)との比較: 背面Xperia 1 III(左)との比較: 厚さ物理ボタンは右側面に集約。上部(写真右側)から順に、ボリュームボタン、指紋認証センサー一体型電源ボタン、ショートカットキー、シャッターボタンシャッターボタンはかなり大きいとともに、半押し、全押しをしっかり認識しながら操作が可能だったショートカットキーには任意のアプリを割り当てることで簡単に起動が可能となる左側面にストラップホールを用意Nano SIM対応のSIMカードトレイは左側面に用意SIMカードトレイは表裏に1枚ずつのNano SIMを装着でき、SIM2側はmicroSDカードとの排他となるアクセサリとして用意される、専用のレザー背面カバーレザー仕様でなかなか質感がいいレザーカバーを装着してもストラップホールは隠れない最大の特徴であるリアカメラは、Xperia 1 IIIとは異なり、背面上部の中央に搭載している。これは、1.0型イメージセンサーの採用によるものだ。
ところで、この1.0型イメージセンサーは、ソニーのデジタルカメラ「サイバーショット RX100 VII」のイメージセンサーと同等のものをに最適化したとされている。ただ、RX100 VIIのイメージセンサーは総画素数2,100万画素なのに対し、の有効画素数は1,200万画素。
この点について聞いてみたところ、に搭載されている1.0型イメージセンサーは、総画素数は2,100万画素だが、そのうち1,200万画素分の領域をクロップして利用しているそうだ。具体的には、センサー全面積のうち約60%にあたる部分を利用していることになり、その領域だけを切り取ると1/1.3型の1,200万画素センサーとほぼ同等になるとのことだ。
なお、「1.0型イメージセンサー全領域のうち1,200万画素分の領域をクロップして利用している」というのは、アスペクト比4:3、1,200万画素の静止画を撮影する際にデータ出力用として利用される領域のこと。動画撮影時や電子手ブレ補正利用時などは、それよりもさらに広い領域を利用しているという。つまり、センサーとしては1,200万画素分の領域だけではなく、さらに広く使っていることになる。
ただ、1.0型イメージセンサーの全領域を利用してはいないことによる利点も多くあるという。例えば、センサーの全領域を利用しないためデータサイズが小さくなり、リアルタイム瞳AFやリアルタイムトラッキング、秒60回の演算でAF/AE追従の秒間20コマ連写といった非常に高速な処理を可能にしている。
また、もともとのAFエリアはセンサーの中央付近に限られるが、ではセンサーの一部をクロップして利用するため、撮影エリアの90%をAFエリアとすることが可能になったそうだ。合わせて、超広角、広角、標準(望遠)と3眼のレンズ全てが1,200万画素で統一されている点でも使いやすいという。
1.0型イメージセンサーの全領域を利用すると、レンズが大きくなり、カメラユニットひいては本体が大型化してしまう。そのためでは、画質や性能、スマートフォンとしてのサイズのバランスを考慮して、このような仕様にしたのだという。合わせて、そもそも同等のイメージセンサーとなる1/1.3型の1,200万画素センサーというものは存在せず、その意味でも1.0型イメージセンサーを利用する意味は非常に大きいとの説明だった。
リアカメラ。上から16mm超広角、24mm広角、3D iToFセンサー、50mm標準カメラ部の突起は、広角レンズ部はやや大きいものの、そこまで大きく飛び出してはいないXperia 1 III(左)のリアカメラとの比較。広角レンズ部の存在感が大きく異なっている実際に搭載されている1.0型イメージセンサー基板。2,100万画素の全センサー領域のうち、1,200万画素分の領域をクロップして利用しているという24mm広角レンズには可変絞りを搭載。こちらはF値2.0の状態こちらは絞りをF値4.0にした状態写真撮影アプリは「Photography Pro」を利用F値の切り替えは、Photography ProのF値ボタンをタップして行なう24mm広角レンズのF値を切り替えている様子アクセサリとして用意されるVLOGGER用アタッチメント「Vlog Monitor」を装着した様子Vlog Monitorにαシリーズ向けのワイヤレスリモートコマンダー機能付きシューティンググリップ「GP-VPT2BT」を装着した様子Vlog MonitorとGP-VPT2BTを装着して自撮りを行なっている様子新たに用意された動画撮影用アプリ「Videography Pro」。わかりやすいUIで、素早く動画撮影が可能最後に、わずかではあるが1.0型イメージセンサーを採用する24mm広角レンズで実際に撮影した写真を掲載する。今回は試用時間が短く、細かなところまでチェックできなかったので、今後試用機を借りられた段階で改めて詳細に評価したい。