『奇跡のバックホーム』に出演する間宮祥太朗(C)ABCテレビ
俳優・間宮祥太朗(28)が主演し、元阪神タイガース選手の横田慎太郎氏(26)の奇跡のストーリーを描く、ドキュメンタリードラマ『奇跡のバックホーム』が、ABCテレビ・テレビ朝日系で13日の午後1時55分~3時20分に放送される。主演した間宮のインタビューが到着した。【動画】間宮祥太朗が縦縞ユニフォームで熱演!『奇跡のバックホーム』予告編 同ドラマは、将来を期待されながら脳腫瘍に侵されて24歳の若さで引退した横田氏が現役最後に披露した“奇跡のバックホーム”を描くストーリーで、間宮が虎の縦縞ユニフォームに袖を通し、横田氏役を演じる。横田氏の自伝的エッセイ『奇跡のバックホーム』(幻冬舎)を原作に、その半生をドキュメンタリーを交えて振り返り、阪神OBの金本知憲氏、鳥谷敬氏、現監督の矢野燿大氏もインタビューに答える。 間宮は、かねて阪神タイガースファンを公言し、中学校3年生まで野球に打ち込んでいた。野球のこと、ドラマについて、そして今作をきっかけに交流した横田氏について語った。■間宮祥太朗 インタビュー――間宮さんと野球の出会いはいつだったのでしょう? 最初はソフトボールだったんです。小学1年生のときに友達から誘われて始めたんですが、キャッチボールをしたら楽しくて。サードを守ったりしていました。小学3年で転校すると、野球をしたくなって、地域の野球チームに所属しました。僕の同学年には野球をやっている人が少なくて、サッカーやバスケットボールをやっている友だちのほうが多かったんですよ。野球人口が少ないんだなって思ったりして悲しかったですね。――間宮さんにとって野球の魅力はどこに? 緊張感…じゃないでしょうか。もちろんほかのスポーツもそうですが、1球ごとにプレーが止まって、1球ごとに緊張感が走る、そんな野球独特のその瞬間に“時間が止まる”ような緊張感があるんです。…すべての1球に思いが込められていると思います。プレーヤーとしては“ここで打たなきゃ!”というシーンでアドレナリンが出る感じが好きですね。――では、今作のオファーを受けたときの印象は?一度はお断りしよう…と考えるほど、他の作品とは違うプレッシャーがありました。横田さんの歩んできた半生しっかりと演じなきゃいけないという使命感が強かったですね。――番組では間宮さんと横田さんが話をされている様子も放送されます。横田さんの印象は? 撮影前にお会いしたのですが、対面してみて横田さんの真っすぐさが伝わってきました。最初はお互い恐縮していたんですが(笑)、カメラが止まっているときにもいろんなお話をさせていただきました。引退試合でのバックホームについて、どんなお気持ちだったのかをうかがったのですが、あのとき、グラウンドが今まで全く違うように…すごく鮮やかに見えたとおっしゃっていたのが印象的で。 ボールが飛んできた時に、何かに背中を押されたような感覚があって、これまではボールが見えないために怖くて後ろに下がっていた足が前に出て…でも投げたときのことは覚えていないそうなんです。気づいたらキャッチャーミットにボールが届いていて、歓声が聞こえて我に返ったと話されていて。それこそ時間が止まるような感覚だったと思うんです。 そんな奇跡のような瞬間は、横田さんが本当に野球だけに向き合い、野球に懸け続けたからこそ起きたことだと思いました。横田さんの歩んできた積み重ね、いろんな想いがあのバックホームを生んだし、今の横田さんへとつながっているんだなと感じました。 横田さんに今の目標もうかがったんです。そうしたら、“同じ病魔と闘っている方や、闘病しているお子さんをお持ちの親御さんたちへ、自分がかけられる精一杯の言葉で、少しでも勇気づけられれば”とおっしゃっていて。もうすでに実行されていることを目標にされているのがとても印象的でした。遠くにある何かを目標にするのではなく、奇跡のバックホームの時に前に前に踏み出したあの“一歩”を、今も着実に踏み続けている…進み続ける人だというのを、演じさせていただく中でさらに強く感じました。――役を演じていて、印象に残っているシーンについてもお聞かせください。 横田さんが引退を決意されたシーンで、「野球をやめます」というセリフです。プロを終えるのではなく、“野球をやめる”…。幼少期から楽しんで、懸けてきた野球で、プロに入れたことがまず凄まじいことで、でも念願のプロになって数年後にはこの言葉を口にしなきゃいけなかったって考えると、個人的にこみあげるものがすごくありました。 そのシーンを演じたときは、待ち時間の間、ずっと横田さんのことを考えていたんです。どんな芝居をしよう、セリフの言い方…そんなことよりも、横田さんと喋ったときのことを感じていました。そうしたら自然と感情が乗りました。僕にとっても不思議な感覚で、あのシーンを撮った時の感覚は今も残り続けているんです。――不思議な感覚? ええ。横田さんのことはもちろんですが、横田さんにとっての野球と同じように、これまで懸け続けてきたことを、やめるという選択をせざるを得なかった人たちのことを考えていたのかもしれないんです。僕自身、横田さんほどの状況には置かれていないですが、自分の過ごす人生の時間の中に、当たり前に懸けてきたものを喪失する、そんなことも呼び起こされていたんだと感じました。これまでの人生で断念せざるを得なかった経験を通して、今も前に進んでいる横田さんのメッセージが、僕を通して伝わってもらえたらと思います。――そんな横田さんから、こんどは間宮さんに“夢はなんですか?”と聞かれたら。 そうですね…。中学生のときのことなんですが、映画を観て映画館を出た時に、映画館に入る前と違う世界に見えた、という体験をしたんです。映画やドラマって出会えたことで人生を変える力があると考えているんです。自分が出演した作品で、そんな体験をしてもらえる人がいたら、うれしいですね。――この『奇跡のバックホーム』もそんな作品に。 野球ファンの方はもちろんですが、これまでの人生で懸けた事がある人、それだけ懸けたものを失ったことがある人、そして失った後に前に進もうとしている人…。そうしたことを体験してきた方々にも伝わるものがある作品です。実話だからこそ、横田さんが伝えようとしているメッセージに圧倒的なリアリティが帯びている。そのメッセージが、観てくださった方に伝わったときに、僕が携わったことにも意味を感じることができると思っています。