雪に覆われたクルスク近郊の道路では、戦車や軍装備品が交通の流れを止めている。ウクライナ国境から約100マイル(約161km)離れたこのロシアの都市の近辺で撮られた動画には、戦車を各地へ運ぶ目的で使われる線路を渡ろうと待機しているクルマの行列が映っている。何十両もの軍用車両がまとめて駐車されているところも映像に残っている。揺れの激しい動画には、往来の激しい道路の横で、雪に覆われた地面の上を戦車がガタガタと走るところが映っている。暗号通貨によるウクライナへの送金が、危機からの防衛と“ハクティヴィスト”の活動を支えているこれらの映像すべてには、ある共通点がある。それは、どれも「TikTok」に投稿された映像であることだ。もしロシアがウクライナに侵攻しても、TikTokへの動画の投稿は止まらないだろう。ベラルーシの小さな村からウクライナ国境沿いのロシアの工業都市に至るまで、戦車や軍隊が流入するなかでも地元住民たちはその様子をスマートフォンでとらえ、ソーシャルメディアに投稿している。これらの動画は、いつの日か決定的な歴史的証拠になるかもしれない。「世の中は大量のデータで溢れ返っています」と、インフルエンス・オペレーション(誘導工作)に対抗する活動を専門とする非営利団体「Centre For Information Resilience(CIR)」のインヴェスティゲーションディレクターのベンジャミン・ストリックは語る。