2021年4月3日(現地時間)、チャットアプリ「Discord」は、2020年7月から12月期の「透明性レポート」を公開し、2020年後半に300万以上のスパムアカウント、26万を超えるガイドライン違反のアカウントを削除したと発表しました。
ゲーマー向けのボイスチャット用ツールとして急成長を遂げている「Discord」ですが、コロナ禍によって在宅時間が増えたことで需要はさらに拡大。2020年12月には、アクティブユーザーの数が月間1億4000万人に達しました。同年6月の時点では1億人だったことを考えると、たった半年で4000万人も増えたことになります。
しかし、ユーザーが増えたことでトラブルや不正利用、また悪意のあるアカウントや暴力性のあるアカウントも増加。同レポートによると、ユーザーが問題を報告する「Trust&Safety」に対し、2020年後半だけで合計35万5633件のユーザーレポートが送られてきたといいます。この数は上半期と比べて50%も増加しました。
最も報告が多かったのがハラスメント(いやがらせ)で、次いでサイバー犯罪、NSFW(Not safe for work:職場などで見るには不適切な画像、いわゆるアダルト画像など)という順になっています。
今回、Discordでは「CSAM(児童性的虐待に関するコンテンツ)」、「過激または暴力的なコンテンツ」「自傷行為の懸念のあるコンテンツ」という新しいカテゴリを設置。これらはレポート全体の中では報告は少ないものの、ユーザーに害を与える「最も優先度の高い」とし、特に監視を強くしたといいます。
こうした問題のあるアカウントに対して「Trust&Safety」は問題のレベルに応じた処置を行いますが、その中で最も重い処置が「アカウント削除」です。Discordは「コミュニティガイドラインに個別に違反、またはプラットフォームのルールに極度に違反するグループに属している場合に削除される可能性がある」としており、今回コミュニティガイドラインに違反した26万6075のアカウントが削除されたとのこと。
削除されたアカウントで最も多かったのはスパムアカウントで、先述のようにその数は300万以上となっています。スパムアカウントを除いた場合は、「優先度の高いコンテンツ」でも挙げられていた、児童性的コンテンツなどの「exploitative content」(搾取的なコンテンツ)。その数は約13万アカウントで、次に多く削除された「ハラスメント」の約3万を大きく上回っています。
また、アカウントだけでなく、問題のあるコンテンツを扱っていたサーバーにも停止処置が行われました。今回のレポートによると、2020年後半、規則に違反した2万7410台のサーバーを削除したとのこと。削除されたサーバーの内訳を見ると、最も多いのが「サイバー犯罪」で、次に「搾取的なコンテンツ」となっています。今回停止となったサーバーには、過激派グループや極右団体が唱える陰謀論「QAnon」に関するサーバーもあったといいます。Discordは、こうした過激な思想を唱えるグループの居場所はDiscordにはないとコメントしています。
先日にはマイクロソフトによる買収話まで浮上するなど、業界でも注目の存在であるDiscord。コンテンツが成長すればするほど、悪意のあるユーザーが増え、その手口も巧妙化するなど問題が増加するもの。Discordが今後どのような対応を見せていくのか注目です。
Source:Discord Transparency Report