オートフライト・ヨーロッパが最初に狙うのは、同社が開発したエアタクシー「プロスペリティI(AutoFlight Prosperity I)」の欧州航空安全機関(EASA)認証の取得となる。このエアタクシーは、航続距離約250kmの電動垂直離着陸機。パイロットのほか、最大3名のパッセンジャーがゆったりと座ることができる。プロスペリティIの認証プログラムは2022年中に開始され、2025年までに完了する予定となっている。
アウグスブルクに置かれたオートフライト・ヨーロッパの研究開発・認証センターでは、専門チームを編成し、業務を展開していく予定となっている。さらに今後は、試験飛行やデモ飛行のための拠点をヨーロッパ各地に設けることを計画。プロスペリティIは、オートフライト初の有人機であり、これまでは無人の貨物用ドローンが中心にビジネスを展開していた。
オートフライトの創業者であり、会長兼CEOを務めるティアン・ユーは欧州拠点設立について、「マーク・ヘニングがオートフライトに加わり、エアタクシー『プロスペリティI』のEASA認証取得に向けて動き出したことを嬉しく思います」と、コメントした。
今後、安全性の確保はオートフライトの最重要課題となる。eVTOLのパイオニアである同社は、エアタクシー「プロスペリティI」を民間旅客機として絶対的な安全性をもって運行することを目指しており、欧州航空安全機関と緊密に連携していく予定となっている。
それを受けて、2022年1月、マーク・ヘニングが、ドイツ・アウグスブルクに拠点を置くオートフライト・ヨーロッパのマネージングディレクターに就任。ミュンヘン工科大学を卒業した航空エンジニアである彼は、26年間航空業界で働いてきた実績を持ち、エアバスのヘリコプター部門で政府関連ビジネスのマネージャーと「EC135 ヘリコプター」の開発責任者も務めている。
また、エアバスではプログラムマネジメント、戦略/生産/開発などのポジションを歴任。インドネシア、韓国、イスラエル、南アフリカ、米国のエアバス・グループにも勤務した。ヘニングはオートフライト・ヨーロッパにおける新たな挑戦について次のようにコメントした。
「私たちは、アウグスブルクに航空機製造拠点を立ち上げ、ドローンやエアタクシーを製造することで雇用を創出します。さらに、エアタクシーによって、まったく新しいマーケットを作り出すことになるでしょう。私が『プロスペリティI』を心から気に入っているのは、その根底にあるシンプルなコンセプトです。シンプルさは、安全性と効率性につながります」
オートフライトは、中国で最も早く自律型eVTOLを開発・製造した技術企業のひとつ。物流用自律型無人航空機(UAV)を実用化しており、すでに悪天候のなか、1万回以上の離着陸を完了している。現在、エアタクシー「プロスペリティI」の製造準備を進めており、数週間後にもテストの進捗状況を発表する予定だ。