NianticのCEOであるJohn Hanke氏は、Augmented World Expoのスピーチでメタバースについて語った。メタバースとはNeal Stephenson氏、William Gibson氏、そして映画「マトリックス」を思い起こさせるものだ。
「架空の未来像では世界があまりにも混乱しているため、人々はそこからある種の仮想現実に逃避し、そこで生活し、仕事をし、遊ぶ必要性が出てくるでしょう。では、みなさんにお聞きしたい。
それはあなたが想像する未来ですか?そしてそれはあなたの子供たちにも同じことが言えますか?
そう、これは私たちNianticが実現すると信じている未来ではないのです」(Hanke氏)。
Nianticは最近、Lightship Augmented Reality Developer’s Kitと呼ばれる新しいソフトウェア開発パッケージで、そのプラットフォームを公開した。Lightship ARDKには、同社のARゲーム「Pokémon Go」や「Pikmin Bloom」の開発に使用されたシステムの多くが搭載されている。同社はこれらのツールを利用することで、開発者が拡張現実コンテンツを作成する際の助けとなることを期待している。さらに一歩進んでHanke氏は本日(訳注:原文掲載日は11月11日)、Lightship ARDKがNiantic Mapと呼ばれるものにアクセスできるようになることを発表した。Hanke氏はこう続ける。
「ARの壮大な挑戦、それは世界をマッピングすることです。現実の持続的で共有された解釈に対応し、そこに物事を固定して、マルチプレイヤーコンテンツやリアルタイムマッピング、理解をもたらし、世界と融合させることができるようになります。これが実現すれば、世界の特定の場所に合わせた体験ができるようになります。私たちはそのバージョンを持っており、機能しているのです」。
Hanke氏はこの地図を示すために、現実世界の地図とジオキャッシングのコンセプトを組み合わせたNianticの新しいアプリを紹介している。ジオキャッシングとは世界中で行われている活動で、人々が物やメモを探し当てるために隠し、そのGPS座標を一般に配布する、言わば巨大な借り物競争のようなものだ。Nianticの新しいゲームは、同じコンセプトに基づいているのだが、代わりにARオブジェクトを使用している。デモでは一人のプレイヤーが像の下にある穴の中にカードを入れ、他のプレイヤーがそのエリアを探し回ってカードを見つける様子が披露された。
マップのデモンストレーションが終わると、Hanke氏はこの責任についても語った。
「この技術で何ができるのか、世界中の開発者がARで何を作れるのか、ワクワクすると同時に、このコンピューティングの次の段階には、大きな責任が伴うことを認識しています」。
先に述べたSFのディストピアというテーマに戻ると、Hanke氏はARの世界を利用する不謹慎な輩の危険性について警告している。
「一日中身につけているウェアラブルデバイスを考えてみてください。頭につけていれば、あなたがどこを見ているのか、たいていはわかるはずです。他にも心拍数なども把握しているかもしれない。製品や広告を見たとき、生理的にどうなったでしょうか?心拍数が上がりましたか?人を見たらどうでしょう?あなたのメガネはその人を認識しているかもしれない。あなたの心拍数はどうなりますか?他の人を見たとき、瞳孔が開きましたか?感情はどうですか?それもかなり正確に予測できるようになってきている。つまり、これはSFではないのです。私が今説明したことは、今すぐにでもエンジニアが実際に行うことができるのです」。
警告を発した後、Hanke氏は基調講演を前向きに総括した。
「もちろん、そのようにならなければならないとは思っていません。私たち次第ではありますが、その方向に行く必要はないのです。Nianticではこの世界が提供する最高のものをさらに高め、そして信じられないほどポジティブな方法でこの技術を使用する選択を、私たちが一緒に実現できる未来を確実に描いています。人々を集め、楽しみ、経験を共有することができます。最終的には、私たちを分断するのではなく、人と人とを結びつけるためにあるのです」。
Lightship ARDKは現在入手可能で、来年にはNianticのマップが彼らのdevkitに登場する予定だ。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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